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2012年2月29日 (水)

天狗

 別にエリカ嬢(嬢じゃねえか・・・、様)でも居酒屋でもない。

 「あの」天狗です。(見たんかい!)

 でもさ、吉野山でもどこでもいいから、背の高い杉の大木が並ぶ境内など、日本のいかにもな場所を訪れるときっといそうですよね。

 さて、産経新聞のこのコラム。 

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120229/art12022903000000-n1.htm

 「武士道」の話ですが、私の網にヒットしたのはテーマそのものではなく、柳田国男のこの天狗の解説。

 「元来天狗といふものは神の中の武人であります」

 そして天狗の道徳とは、

 「即ち第一には清浄(しょうじょう)を愛する風である、第二には執着の強いことである、第三には復讐(ふくしゅう)を好む風である、第四には任侠(にんきょう)の気質である。儒教で染返さぬ武士道はつまりこれである」

 そしてコラムの最後、大隈重信が新渡戸稲造に語ったというこれ。

 「私の直感では、アングロ・サクソンの思想は武士道が涵養(かんよう)した考えと合致する」

 果たしてそうか。両者が正しいのであれば、天狗の道徳=アングロ・サクソンの思想まで言い切れなくても、近似していないとおかしい。

 答えを先に言ってしまうと、私の感覚では「言えてるかも」なんですが、ヴィデオゲーム的な世界にこじつけて考えてみよう。この時点でまだ勝利は確信していない。

 やはり道徳、すなわち徳の話ですから、ロード・ブリティッシュ(LB)に敬意を払ってウルティマの八つの徳で考えてみよう。

 八つの徳とは、ご承知の方も多いだろうが、勇気、愛情、真実の三つの理念の組み合わせから徳を導き出したものである。以下過去記事からコピペ。

**********

 左に並んでいるのがウルティマの八つの徳(Virtues)。右が、それぞれを司る三つの理念(Principles)。訳は私のものなので日本語版訳とはきっと違うでしょう。特に「信仰」は間違いなく違うはず。

「正直」(Honesty)   「真実」(Truth)
「慈悲」(Compassion) 「愛情」(Love)
「武勇」(Valor)     「勇気」(Courage)
「正義」(Justice)    「真実」と「愛情」
「献身」(Sacrifice)   「勇気」と「愛情」
「名誉」(Honor)     「勇気」と「真実」
「信仰」(Spirituality)  「真実」、「愛情」、「勇気」の全てを満足した状態。
「謙虚」(Humility)    「真実」、「愛情」、「勇気」の全てを欠いた状態。「傲慢」(Pride)の対極

**********

「清浄」 これは、表層的な意味では清廉潔白、「正直」(Honesty)の美徳を言っているのでしょうが、不浄に対して禊(みそぎ)の意味を含めているわけだから「信仰」(Spirituality) ともいえる。リストの一番最初にあげてあるので、全体を示す「信仰」の意味が強いかも。

 「清らかでけがれのない・こと(さま)」の意味では「せいじょう」と読んでも一緒。
 もうひとつの意味、仏教の世界では「煩悩(ぼんのう)や罪などがなく、清らかなこと」を指す。

 なお柳田国男は欧米語を念頭においていなかったと思うが、sanctitudeを清浄と訳すことがある。「神聖」、holyであること。

「執着」 このままでは悪徳のように聴こえてしまうかもしれないが、それはobsession の意味にとるからであって、この言葉自体は中立。目的に対して粘り強く取り組むことをいうなら「不屈」の美徳でもある。粘り強く戦う姿勢、あるいは求道の精神をいうのであれば「武勇」(Valor)でもいい。
 上で当てはまるものでは「献身」(Sacrifice) なんかどうですか。執着とは一種のコミットメントですから、サクリファイスは似ています。

「復讐」 さあ、まるで悪徳そのものまで出てまいりました。ところが武士道の世界、あだ討ちというのであれば、「正義」(Justice)であり、かつ「名誉」(Honor)ですね。嫉妬にかられての復讐というものは認められない。

「任侠」 悪徳オンパレードのようになってるけど、これ、実は「慈悲」(Compassion)なんだね。

 抜けているのが「謙虚」(Humility)。謙虚は上のウルティマのリストをご覧になればおわかりのとおり、 「真実」、「愛情」、「勇気」三つの理念がことごとく、Nullなんです。これは絶対神(一神教)の世界ではないとなかなか実現しない気がする。
 たかだか人である自分が、そのような高尚な理念を理解・体得している、どうすれば理解・体得できるなどと考えてはいけない、という発想です。では誰が考えているのか。きっと超越した誰か、例えば神が考えているはずだ。

 ところが、そういう発想であれば、「謙虚」こそ「清浄」そのものではないのか、という考えもありますね。そうなると、「清浄」には、「真実」、「愛情」、「勇気」の三つを満足した「信仰」とその三つを全て欠いた「謙虚」という二つの意味があることになる。排中律(白か黒かハッキリしていて中間はないこと)が成立しない。別にいつも成立しなくても構わないのですが。例えばジーザスは神であり、かつ人である。

 ざっくし整理するとこんな感じ。

 「清浄」: 「真実」、「愛情」、「勇気」全て。あるいは/かつ、その全ての不在

 「執着」: 「勇気」

 「復讐」: 「真実」

 「任侠」: 「愛情」  

 少なくとも大して矛盾しないで当てはめられることができたと思います。言えることは、

「天狗の道徳=アングロ・サクソンの思想まで言い切れなくても、近似していないとおかしい」

 ことへの反証は見つからなかった、です。

 八つの徳はハつの大罪からインスピレーションを受けたことは間違いないでしょう。では八つの徳の対極、八つの悪徳というものは存在するのでしょうか?
 確かウルティマの世界でも、アヴァターにつき従うそれぞれの美徳を体現した八人のコンパニオンがいて、それぞれに仇敵がいたような気がする。その仇敵たちがやはりそれぞれの悪徳を代表していたと思われるが、あまりハッキリ示されていなかった。

 勇気、愛情、真実の裏を言えばいいのですが、これ結構面倒です。なぜなら素直に卑怯、憎悪、虚偽とやってしまった場合、「卑怯」(臆病)は「勇気」を欠いた状態、「虚偽」は「真実」ではない状態、でいいのですが、以前の記事でも書いたとおり「憎悪」は「愛情」を欠いた状態ではない。

 むしろ「憎悪」は「愛情」の一形態といえなくもない。気になって気になってしょうがない状態だから。かわいさ余って憎さ百倍、アンビヴァレンス。イズラム原理主義の憎悪はキリスト教原理主義に向けられた近親憎悪であるという説がある。もちろんアンチ・ジャイアンツはある意味でジャイアンツ・ファンである。
 その意味で、DA2のコンパニオンたちはライヴァルリー満タンであればフレンドシップ満タンである場合と同じように主人公ホークにコミットする、というデザインもあながち無茶ではない。

 「愛情」の裏返し(というか正確には対偶)は「愛情の欠如」、すなわち「無関心」です。二字熟語を徹底するなら、あるいは「冷淡」。

 きっとLBもそれがわかっていたからウヤムヤにして手を抜いたのかな。

 そして最後に一例を掲げますが、仮に「臆病」、「冷淡」、「虚偽」で八つの悪徳を考える場合、すげえ難しいのはわかりますよね。つまりこうだ。
 「勇気あり」、「愛情なし」、「真実なし」、勇気・冷淡・虚偽、これは一体何でしょう?
 ブッシュ・ジュニア及びネオコンのイラク戦争? 虚偽とは戦争目的が虚偽。冷淡かどうかは一概に言い切れないがクリスチャニティ以外への無理解、勇気は戦ったわけだからあるのかな。「無謀」でしょうか? ちょっと違うよね。ちゃちゃっと短時間でまとまるもんじゃないね。

 (とはいいながら、次の記事で試みてみました) 

 (ちなみにウルティマ最終章でアヴァターが決着をつけなければならなかった相手こそ、アヴァター自身、八つの徳を全て欠いた自分自身(の歪んだ鏡像)なんでしたよね)

 以前、美徳を欠いた、あるいは過剰な状態について述べた面白い言説を読んでブログにも書いた。コピペ。

**********

 徳(ヴァーチュウ)と不徳(ヴァイス)について、徳の過剰は不徳に転ずという格言があって、西部邁がある豪腕政治家にインタヴューをした際、ギリシャの四徳といわれる「正義と思慮」、「勇気と節制」に当てはめて人物像を次のように考えた。

 思慮の乏しき正義:専横
 正義の乏しき思慮:卑劣
 節制乏しき勇気:蛮勇
 勇気なき節制:臆病

********** 

 天狗の話じゃないの?

 ずっと天狗の話でしたよ?

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