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2012年2月21日 (火)

ゲイヴ・ニューウェル (2)

 でも元の記事ではこう言っていますよね、と突っ込まれることが少ないので原典にあたることを最近サボっている。大変よくない。

 前の記事のニューウェルのインタヴュー、ペニアケの元記事も読みましょう。

 http://penny-arcade.com/report/editorial-article/valves-gabe-newell-talks-wearable-computers-rewarding-players-and-whether-w

 被ってるところはオミットして・・・。長い(笑)。

 全部は無理。そこまでニューウェル信者でもSteam亡者では全然ないし、とっても面白いから読んでね、としかいえない。ゲイダーさんなら何時間のインタヴューでもやるけど。

 ニ、三のトピックスだけ選り抜く。超圧縮訳。
 ただし、ゲイヴ・ニューウェルは自分の言葉だけで喋りますので、とっても読みにくい。
 でも、繰り返しが多く、前後脈絡がなく、主語は途中で散々変わって、結局何言ってるか容易にわからない話、それこそ(正しくはないとしても)とても面白い話。これが真実。

**********

Q: 続編がちっとも出ないじゃないか、ウェアラブルとかハードウェアとか何やってんの!というファンの声について。

A: ファンが困惑しているのは当然知ってるし、こっちだってフラストレーションが溜まってるよ。一日にもっとたくさん働ける魔法があればいいんだが、Counterstrike, Half Life, Portal, Left 4 Deadの続編を大勢が待ち望んでいるのは知っている。Ricochetはともかくね。そして物語もキャラクターも前に進めていきたいが、それと同時によくあるおざなり続編づくりという末期症状(terminal sequelitis)に陥るのは避けたい。

 Half Life一作目は宣言してから一年でできた。もしフォーラムのファンの声を全部聴いていたら二作目ができあがるまでには50年か60年かかっただろう。だからファンに過度の期待を持たせることには慎重なんだ。失望しか生まないからね。「オーケイ、ファンが興奮して大騒ぎする前に、もうちょっと詰めてから世に出さないかい?」という感じで引き気味にやってるよ。

(訳:DA2のレイドロウ氏、よく聞いていたほうがいい。あとBlizzard。Diablo IIIにほんとに50年かけるつもり?(笑))

(訳:次は個人的にとても興味深いテーマ)

Q: Steamのプライシングについて。Steamは大成功していますが、秘訣がある?

A: ぜんぜんない。今でも学んでいる。プライシングとは、カスタマーにより大きな価値を提供できるか、という大きな命題の一部であると考えている。伝統的な発想、他にたくさんの要素があるにもかかわらず、プライシングだけでカスタマーをセグメントわけするというものではない。プライシングはサーヴィス提供の機会だと考えるべきだし、あるいは・・・、問題発見と考えるべきだね。

 カスタマーをあるコンテンツやサーヴィスのコレクションに結び付けたいと思うし、一種類で皆を満足させる(one size fits all)発想からは脱却せなならん。多くの人々がプライシングについて、まるでインターネット創設前みたいなやり方で取り組んでいる。正しい人々に正しいものを正しい組み合わせで正しい価格で提供できるチャンスなのに。
 F2P(フリー・トゥ・プレイ)は、うちの業界にとって目覚ましコールみたいなもんだろ。何が起きているか早く気がつけば、いきなり前払い金(upfront fee)をよこせ、って言う方法なんかより、ずっと多くのカスタマーにずっと大きな価値を提供できるようになるんだよ。

 ゲーミング・コミュニティが価値を創造するにはこうすればもっと良くなるという一例だ。一方のF2Pと一方のコミュニティ・コントリビューション(訳:Modなどを言っています)てのは価値創造と価値消費の機会をどれだけ増やすかという同じスペクトラムの両端なんだ。正しい人を正しい価値創造集団と結びつけるのが鍵だ。

 誰かがほんとに素晴らしい(訳:コミュニティの)チーム・メンバーだとして、簡単な方法でその事実をしらしめたいなら、その人のゲームにちょっとお金を払うのが簡単な方法だ。「彼らは価値を創造してくれている」と宣言する簡単な方法はそれで、作り手はそういうもの(訳:賞賛を)獲得できなかったら、経済的に成立できない。
 コミュニティの皆がどうやって価値を創造し、コミュニティ・メンバーをどうやって結びつけていくか、とっても小さな発想の転換だが、それが価値を産むんだし、29.95USDでいいのか、39.95USDが適切なのか思い悩む必要もない。むしろ今までの全ての間違いに気がつくことができるんだ。

Q: 不平不満はけ口サーヴァーなんて用いていないのに、カスタマーの声を聴く、実際のデータ解析方法は?

A: 俺たちも四六時中ゲームで遊んでるよ。(訳:フォーラムで騒いでいる)どこかの誰かが他の誰かより重要だなんて、Valveの俺たちが言うと思う?

 どこかの誰かがある集団にとって重要であるという事実を、他の誰かが発見できるようにする、そういうシステム設計をせにゃならん。単にプレイして愉しいってのは、ずっとたくさんある価値創造の方法の一つに過ぎない。

 効率的なプレイがしたいってのと、透明性のあるコミュニケーションを用いて好きな人たちと一緒にプレイしたいってのは全然違う。驚くほどイライラして怒りやすく、誰かと一緒にゲームを遊ぶことになんて興味ないって人だっているんで、そのどちらのタイプの人でも最終的に楽しめる、全体としての満足度を高めるシステム設計がいるだろ?

 人々は色々な価値、選択、嗜好についてそれぞれとても異なる重み付けをしている。システムが成功するためには正しい結び付けが必要であり、皆がただの金儲けの対象で一緒の存在なんて扱う発想は、ありえないくらい昔の発想になるだろう。もうすぐね。

Q: とても素晴らしい発想に聴こえますが、具体的なメカニズムは?

A: 統計値を見るときは、巨大なデータ群の中から、どれが先行性のある(predictive)指標であるか見極めなきゃならん。例えばPortal 2で、エンディングを見る人が少ないという事実に注目した。そこに注目したら、次に中身を替えはじめる。三十日後にはエンディングを見た人が増え始める。正しい指標を見つけて中身をいじれば、望む結果にとても早くたどり着ける。
 「いやいや、誰がどうとか考えるのはやめて、気質不可知論、ゲーマーが実際どうかなんてわかりゃせんだろ、という発想でいいよ。皆一塊に扱え」って発想がどうして生まれるのかわからん。
 「でも、プレイヤーたちに気質・特徴モデルを当てはめたら、いきなり結果に直結しましたよ!」という感じになるかもしれないし。

 注意せにゃならんのは、フレームワークが間違っていたら、指標に意味がなかったら、ただゴミしか出ない(修正:メチャクチャにしちゃう、「角を矯めて牛を殺す」のほうがよかったか)。「じゃあ、てきとーに行動パターンを選んで、計測して、相関をみて因果関係を見極めようぜ」ってだけじゃだめなんだ。
 ある種の人たちはサーヴァーに長時間居座るが、ある種の人たちはすぐ立ち去る。でたらめなのか、相関しているのか、つまり、長時間居座る人たちがまさに原因で、立ち去る人たちは居座る人たちに頭に来て立ち去るのかもしれん。マッチメイキングで「じゃあ、この人たちを一緒に」とやって実際最後まで付き合うのを見て、来週もきっと長時間付き合うだろうと予想する。なにかの変化を与え、再度同じマッチメイキングでやってみたら、予想は正しかった、いや間違っていた、誰一人一緒に遊ばなかった、とか、わかるわけだ。
 
 つまり間違っていたならモデルが違ってた。何が違っていたか見極めにゃならん。最後にこう言えるまでモデルをいじくる。「よし、ある種の集団がいて、かれらをまとめれば長時間一緒に遊ぶし、遊ぶ回数も増えるというかなり信頼性の高い予測ができるぞ」。

 プレイヤーにインタヴューする必要もないし、チャットの文句を読む必要もないが、それらの人々にとって自分たちは貴重な存在だとみなすような変化を与えたということかもしれない。
 だから人間関係にわざわざ侵入しなくたって、コミュニティの人たちにポジティヴな結果を返すことは可能なんだ。そのごく簡単な例だね。

**********

 時間が尽きた、力も尽きた、ってか私の興味はとりあえず満足した。

 統計値分析については王道。以前例のモバゲー開発者の話を記事にしたとき、筆者が「KPIちゃんとみろ、数字の向こう側の顔を見透かせ」と言っていたのとまったく同じ。だってあたりまえだから。行動予測の王道はそれしかないし、それ以外の方法をまだ人類は発明していない。

 最初のほうの話題も、以前書いたことがある「利益はお布施」論につながりますよね。利益は「賞賛の対価」である。むしろ対価ですらなく「賞賛された事実を示すもの」である。

 二つの批判ができますね。えーっと根はひとつか。

 プライシングについては、結局マイクロマネジメントをやってコンジューマー・サープラスを漏らさず掬い(すくい)上げてるだけじゃないか。

 統計値については、ゲーマーはモルモット代わりかよ! いや最近はモルモット使ってないらしいけど。

 批判の根はどちらも一緒で、結局ゲーマーをマス(集団)としての実験台と扱っているだけじゃないか。
 でも現代では消費行動に限らず、なんらかの行動をしたら大抵すべて捕捉可能。GPS問題、監視カメラ問題、むしろ「監視される快感」を覚えているのではないか説、があることも前に書いた。最たるものがfacebook。露出趣味はこういうブログだって一緒だ。

 ある種の行動をするマス、それを実験用モルモットの群と一緒とみたら、今やコンビニですら買い物ができなくなります。

 私もニューウェルの話を読んでいて(ずっと後半に出てくるのですが)、個人情報については最悪facebookやGoogleのようなイーヴィルな世界に行く可能性は否定できないし、現にEA/Originは危ないなあと感じた。すごくやりそう。
 ニューウェルはとても賢いのでそんな愚は犯さないし、それらの目論んでいる個人情報流用の功罪を冷静に見据えていて、実は重きを置いていないと思う(プロテクトには重きを置いている)。
 個人の嗜好をハンドリングできるツールなんてまだないから。

 ただこれは一方で、モバゲー開発の失敗例もそうだし、今までのMMOがだらしないと思う点でもある。大量のプレイ情報をデータで獲得していながら、なーんもしやせんかった。
 システム(ゲーム)のローンチが即開発終了だった。酒でも飲みいこうぜ、あとは給料の安い運用担当が徹夜でよろしくがんばれな。

 そこから発想を崩してくるから、確かに気持ちいいですね。
 今まであまりに使いこなせていなかったもの、ニューウェルはいうならば金鉱を発見した。あー、そうそう、データー・マイニングだけに。
 そろそろ皆気がつき始めそうだ。EAはセコイから真っ先に気がついた。ActivisionBlizzardも儲けを(修正:もっとさらにとてつもなく重大なことにゲーマーの挙動という情報を!)XLIVE、すなわち巨漢(じゃないそれはニューウェル)、巨艦原子力空母、MSに持っていかれていることに気がついて手をつけ始めた。
 ゴールド・ラッシュがやってくる。

 本当のゴールド・ラッシュの悲惨さって知ってます? シャーロック・ホームズにもありますよね? やがて邪悪の巣窟になります。なぜなら、人間は手加減をしようと思っても金が絡むとできなくなるから。資本によって人間が疎外されるから。

 そういう怖さは確かにあるが、発見者ニューウェルが賢いことに違いはない。

 でも相手があまりに正しい、賢いと人間腹が立つんだよな。アンビバレンツ。

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コメント

 「Alan Wake」、steam発売48時間で開発・宣伝費用を回収。http://www.4gamer.net/games/021/G002108/20120221014/
 こういう記事を見ると、何とも言えないものを感じますね。

 もうこの際だから、賢人ゲイブ・百貫・ニューウェルには、くだらないハード戦争をいつまでもやってるソニー、任天堂、マイクロソフトに引導を渡してもらいたいものです。今の状況よりは、steamディストピアのほうを私は望みますね。

 偽りの預言者(笑)。
 facebookやGoogleの暴露社会あるいは対極で故ジョブズの位牌持ちたちが実現しそうな管理社会(両者完全に一緒ですが)のディストピアまでいかんでしょう。Steamはレッサー・イーヴィルでしょうかね。

 EA/Activisionのハルマゲドンもしょぼかったしー。ハード戦争はもう戦争じゃなくて、消耗塹壕戦。アトリッション・ウォー。
 ハード戦線異状なし。

 いや笑いごっちゃなく、あのONLIVEでしたっけ、あんなものにお金出したがってる資本家はいるんですよね。ニューウェルが声を出すとでかいからなあ(両方の意味で)。ないとはいえないですね。

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