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2012年5月19日 (土)

世界史ブーム(2)

一般大衆に広まったときがブームの終わりのはじまり。

 もうひとつ指標がある。どちらもそのシグナルによって事前に何らかのアクションがとれる
「先行指標」ってわけじゃなくて実際は何をするにも手遅れになる「遅行指標」だけど。

 一般紙(新聞)に記事が載ったときがブームの終わりのはじまり。 

 ふたつとも連動しているのでしょう。

 というか、次が一番正しいのかもしれない。

 私(ブログ主)が気がついたときはもうブームの終わりのはじまり。

 早い遅いの差があるが、「世界史」ブームとやらに各紙ともアウェアしている。

 産経新聞はたぶん一番遅いほうで、本日記事が載っていたが、内容はどう流行しているかばかりでなぜ流行しているかの「理由」がほとんどなくがっかり。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120517/bks12051708090001-n2.htm

 せっかく山内昌之教授を登場させているのに、コメントは次のような内容。
もうちょっと踏み込んだ意見を引き出してほしかった。
(以下、下線はすべてブログ主)
 
"歴史を学ぶと、全く違う時代の出来事に現代と同じような構造があることを見いだせる。
時代の転換期に不安を感じ、世界の中の日本の行く末を考えるとき、歴史に教訓を求
めるのは当然
"

 「構造」はたしかにキーワードでしょうが、これではあまりに当たり障りがなく物足りないので、
ネットからそれらしい「理由」を拾えるだけ拾ってみる。

"先の見えない混沌とした時代に、人類の歴史を学び直したいという欲求が高まっている
のかもしれないが、これまでの「世界史」と何が違うのだろうか・・・"(asahi)

"購入の中心層は中高年で、今になって世界史の本を手にするのは、流行の
学び直し」に目覚めたのか。それとも日々変わる世界の政治情勢に対する関心からか――"(読売)
 
 「学び直し」という言い方は嫌いだが(だって英語も数学も歴史も、なんであっても今までまともに学んでこなかっただろうが!)、「人として世界史ぐらい知らなければお話にならない」(理想主義)、あるいは「世界史くらい知らなければ相手にされない」(功利主義)という態度は当然あってしかるべきだし、もしそういう発想から多くのさらりまんが買い求めて(本当に読むなら)それになんの異存もないというか、好ましい。

 歴史を学ぶなど西欧の上流階級、インテリ層では常識以前の話であり、他国の(世界の)歴史も知らずに「国際化」を語るなどチャンチャラおかしいわけで。それ以前に自国の歴史も知らなかったりすると眼も当てられないわけで。もしそれでいいなら一億国民総帰国子女化すればいいじゃん。あるいは、みんなローラかトリンドルみたいになればいいじゃん。それはそれで楽しそうだが、国富維持の面からどうかしら?

(ゲームブログちゃうやんという批判を回避するためネタをちりばめると)The Witcherシリーズはご承知のように波蘭のファンタジー作家の原作をベースにしており、物語は同国の12世紀からはじまる国土分裂の歴史(王室内の血で血を洗う抗争)を見事になぞっている。もちろん私も実際調べるまで知らなかった。今ではその時代のことならそこそこ語れるようになっているわけで、興味さえあればすんなり入ってくるものですよね。

 毎日には中西寛教授が登場していた。これは期待できるかな。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120408ddm002070099000c.html

"最近、世界史の著作に関心が集まっているという。ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」(草思社)やウィリアム・H・マクニールの「世界史」(中公文庫)といった数百ページの大作が、意外なほど売れているらしい。良いことである。両方とも名著だから広く読まれることだけでも喜ばしいが、それ以上に、こうした著作が多くの読者を獲得している点に、日本人が真剣に国のあり方を考えている兆候を感じるからである"

"人類が地理的な制約を超えて一体感をもつ超近代的な世界と、西洋社会が台頭する以前の前近代的な多文明世界の共存、それが今日の世界の姿である。この世界がどこに向かうのかはまだ分からない。だからこそ、歴史にヒントを求めようという動きが出てきているのだと思う。
 こうした試みはとりわけ日本人にとって重要だろう。なぜなら、世界の中で自らの置かれている位置を理解し、めざすべき目標を共有した時に日本人は力を発揮するからである"

 上を噛み砕くと、「歴史に学ぶことは、とりわけ日本人には重要だろう。なぜなら、歴史に学べば日本人はこれこれの時代(歴史に学んだ時代?)に力を発揮してきたからである」
 
 トートロジー? 循環論法? 循環論法が悪いなどと一言も言っていない(実際それ自体悪くないし)が、でもそれではなぜ「歴史に学ぶことが有意義か」がわからないんですよね・・・。中西教授は「歴史に学ぶことが有意義だ」という前提を置いちゃってるわけだから。
 たぶん、「歴史」自体に再現性がない(不可逆性がある)ため、人類は不確実な未来を予測する際に過去に頼る以外になんの手段も持ち合わせていない、ってことなんでしょうね。過去に頼ることが有意義かどうかわからないけど、お手本、拠り所はそれしかないのだ。
 
 でも、各言説で共通していることはわかった。予想通りともいえる(それを確認する作業だったともいえる)が、まとめると。
 
 「めまぐるしく世界情勢が変化する混迷の時代、真剣に国のあり方を考えている(一部の?)日本人は、過去の歴史に学び、この国の向かうべき針路を選ぶヒントを求めているのだろう」
 
 思考停止の言説にしか読めないんですよ・・・。 
 正直、これ以上の何かを期待していたのですが。 
 ただし、上のまとめに書いたようなことが(潜在的)読者の共通認識にあるんでしょうね。
 思考停止的に思える理由は、次の文章が示してくれている。

「歴史学の目的の一つは、過去を知り、過去に学び、それを現在や未来に生かすことである」(asahi)
 
 さすが朝日。逃げ道をちゃんと確保してる。そのとおりであくまで「目的の一つ」。「歴史に学べ」という言説が無邪気に聞こえるのは、ここが抜け落ちちゃってるからかもしれない。
 しかも、意外と重大ではないほうの「一つ」のような気がする。
 
 他の目的にはたとえば「歴史は勝者の手によって書かれる」とよく言われるように「為政者(強者)の自己弁明、自己評価」があるが、(ここの読者に説明の必要がないくらい)あまりに陳腐だし、それも思考停止的だし、今大事でもないので省略。でも、「国際法」(世界集団幻想)などが拠り所にする過去の歴史も、軍艦を数多く持ってるほうが書き直すことは知っておいてほしいですね。
 
 少なくとも今はやりの世界史については、次のような目的が重要だと思います。
 お気づきのようにダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」という表題は西欧文明が世界を席巻した直接的・間接的な原動力を示す。西欧文明がなぜこれまで優位にたってきたかを説明するのがテーマ。
 クリスチャニティ(キリスト教)世界では必然的に「歴史」を学ばなければならない。神の意思(あるいはその不在)を確認しなければならないから。クリスチャニティ世界(だけに)優勢な文明が発達したのはなぜか、必然なのか偶然なのか解明しなければならないから。
 言い切ってしまえば「過去を現在や未来に役立てる」なんてしていない。「過去によって現在を説明・弁護している」、「現在を必然(あるいは偶然)とみなすため)過去から証拠らしきものをかき集めている」のかな。
 クリスチャンには「未来」なんてひとつしかないわけだから。

 真理(すなわち神の意思)の探求には、宗教上(信仰上)のやむにやまれない要請があるんでしょうね。これはなにも歴史などの社会科学に限りませんけど、宗教(信仰)自体が為政者と結びついた「制度」であるから、同じ為政者の「制度」の中でも重要なのはやはり「歴史」でしょう。

 そういった切迫した動機づけのない日本人が何ゆえに「世界史」ブームなのか。単なる嗜み、ファッションでもいいんですが、それ以外の何かがあると思うんですけどね・・・。

 でも世界史ブームというなら、いっそ「世界史の構造」(柄谷行人著)とか、「<世界史>の哲学」(大沢真幸著)とかに目を向けてほしいなあ。佐藤優氏は「世界史の哲学」(高山岩男著)を薦めていたが、入手できるのかな。
 マルクスとか、西欧優位説とか、グローバリゼーション論とか、あるいは国体(國體)論その他もろもろを(自国語で)自由に読み、語れるなんて日本人の特権ですよ?

**********
 おまけ。
  
 一般誌とはとても呼べないが「ダ・ヴィンチ」は、ちょっとは気が利いたことを言ってほしいですね、と期待。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120510-00000358-davinci-ent

 ブームの背景には、混迷する社会情勢がある。  
 世の中が不安定になると、人は確かな拠りどころを欲するようになる。それが古からの知恵──教養だ。自分の立ち位置を見つめなおし、これからの時代を生きるにはどうすればいいか。そのヒントを歴史や哲学、物理学などの英知に求めるのだろう。そこに、わかりやすい解答はないかもしれない。しかし、書物から得た教養は、未来を生き抜く確かな武器となる。  

 一緒か・・・。

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