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2012年5月 5日 (土)

いくつかの「軸」に関する記事。

 実は連休中、ヴィデオゲームはほとんどしていません。 ちょこっとなでるくらい。

 とはいえ連休なにそれな欧米さんたちは、夏に集中する業界大イヴェントに向けて、いろいろな花火やのろしをあげはじめている。

 ここのところのふたつの重大な事件を、メモ代わりに書いておきます。きっと将来思い返すことになるだろう。

 いくつかの軸で考えるとわかりやすいかもしれない。ただし、わかりやすい、整理しやすいと、「正しい」は違う。雇われコンサルタントがビジネスの「三つのポイント」、「七つの提言」などと言う場合と一緒で、そこからなにが抜け落ちたのか、意図的に脱落させられたのか、常に注意しなければならないんですけどね。だいたい、三つのポイントで簡単に割り切れるなら、とっくにみんながやってるだろうって。

 もちろんたくさんの軸がある。

 一番最初に、ヴィデオゲームに対する態度として、「限りある人生の貴重(稀少)な時間の浪費である」というものと「人生における至高の愉しみのひとつである」というものがある。
 母親が子供に「もー、この子はゲームばっかりして!」という場合、前者の態度に立脚している。さらに、容易に信じられないことだが、「浪費どころか有害である」と言い切る、それ自体有害な言説を吐く者もある。
 私の態度はいうまでもない。

 冗談(でもないが)はさておき、例をあげるなら、私も日本人ですから、まず欧米と日本という軸が思いつく。対立軸ではなく、現状の相互無理解、共存の可能性、将来的な融合の可能性が論点かもしれない。個人的には一番興味の沸く話題だが、巷で頭の悪いメディアがやっているように「戦争」のアナロジーで説く限り、最後までなにも見えないおそれもある。

 関連して彼我のハードウェア売り上げの差異という現象面では据え置き型マシンとハンドヘルド・マシンの軸もある。遊ぶ時間が有限であれば、これは対立の関係、ゼロサムの関係であるが、たぶんに文化的な要因があることは容易に推測できる。
 スマホゲーやモバゲーをゲームと認めるなら(ここでも私の態度はいうまでもないが)カジュアルとコアという軸も当然ある。私はこれは排他的であると思っている。

 任天堂の宮本さんが、Vitaにはソフトが足りないとのたまっていた。3DSもそうだったし、もっといえばハードウェアのローンチではいつでも話題になる問題。テクノロジーの問題、ハードウェアとソフトウェアの軸である。これは世に言う「補完財」の関係であるから「軸」という呼び方がピンとこないかもしれないが、そんなこたない。相互に依存して進展するという意味では議論は立派に成立する。
 もちろん双方の送り手が異なる場合には、これは対立軸となりうるし、実はSonyやMSのようにインハウスで両方やったって、結局対立する部分は残る。 

 対立をよく示す例をあげると、Valve/Steamのニューウェルが、独自にパーツ取替え式進化型のPCを開発して出したいと考えていること。

 この記事の本題のひとつめは、ソロゲームとマルチプレイという軸。RPGジャンルに限れば、今一番議論を呼ぶところかもしれない。

1.The Elder Scrolls Onlineは好感をもって迎えられるのだろうか。

 http://www.gamespot.com/news/elder-scrolls-online-confirmed-for-2013-6374918 

 http://www.gamespot.com/the-elder-scrolls-online/

 上は、GameSpotのTES Online第一報。もちろん、元が最新作Skyrimが圧倒的熱狂によって受け入れられたTESシリーズですから、それこそどこを覗いても大々的に喧伝されている。

 しかし今のところTamriel大陸全土が舞台という以外にめぼしい内容はなにもありません。開発を「すでにやってるよん」と宣言しただけである。
 WoW以前には御三家のひとつといわれた名作MMO、Dark Age of Camelotを開発運用していたMythicの共同経営者がTES Onlineの開発元Zenimax Online Studiosにかねてから招かれていたという事実は(業界大ヴェテランの存在が成功に寄与すると考えれば)大事かもしれない。

 
 2013年ローンチの予定というが、MMOのローンチと、そば屋の出前ほど当てにならないものはない。いや、そば屋の出前(ラーメン屋でもすし屋でもなんでもいいが)というものは日本ではもう絶滅危惧種でしょうか。 

 (脱線開始)

 少なくとも都会では、そば屋の出前というものはもうあまり残っていないだろうと容易に予想できる。なぜなら、街のそば屋のおっさん・おばさんの多くが超高齢化してしまっていることを目撃しているからです。
 その隙間を今では多くの大規模宅配チェーン店が埋めている。決して大規模チェーン店が市井のそば屋を駆逐したのではないと思う。そば屋の出前が成り立たないわけでもない。だってもし選べるなら、誰が好き好んで冷凍・レトルト・缶詰・工場製品でしかない調理品・料理を注文しますか。
 単純に高齢化と後継者不足の問題だと思う。

 しかも大規模チェーン店は規模の経済をあまり獲得できていないらしく(あるいはあれでも十分獲得しきっているのかもしれないが)ヘッドクォーターズやコールセンターのコストを含めたオーヴァーヘッド・コストと逸失利益コスト(食材が使い切れずに余る、廃棄することを含む)が乗っかっているのか、実に高いのだ。いや、実は街のそば屋と一番違うのは、名も知れぬ不特定多数を相手に販売する上でどうしても必要になってしまう損害保険コストかもしれないね?

 多くの大規模チェーンは、これも多くの業種・業態が融合してしまった、沖縄なのかどこにあるのかわからないが超巨大コールセンターなるもので、あるいはこれもどこにあるのかわからないが受注サーバー群、インターネット経由で注文を受けつける。
 後者を用いた場合は、自動返信メールなどが「あと何十分でお届けします!」と宣言してくれる。もちろん、あまり誰もそれをあてにはしないだろうが。

 事件の背景を知るにつけ、心底嫌気が差してきて、見るのも聞くのもお断りしたいくらいの(だから、ついつい必死に探して読んでしまう) あの重大な観光バス事故。

 多くの乗客の方が事故で亡くなったその翌日、亡くなった方々を含めた乗客の電子メール・アドレスに一本のメールが届いたという。その内容とは。 

 「ご乗車はいかがでございましたか?」 

 毎日新聞。

 http://mainichi.jp/select/news/20120504k0000m040062000c.html

 真偽のほどはわからない。毎日新聞は(ほかの多くの新聞社と同様)前科もちだから。

 でも事実だとしたら、あまりにシェイクリー的な、スタージョン的な、あのヴォネガット・ジュニアでも思いつかなかったであろう、あまりにSF的な、とてもたちの悪い冗談ではないか。 

 これに代表されるような、実に上滑りしたネット・ビジネス、インターネット・マーケティングなるものへの批判が最近よく話題になっているらしい。レストラン勝手格付けサイトのステマの事件もあった。

 (脱線終了)  

 ふたつめの主題にも関連するのだが、上の話にはもうひとつ隠された軸がある。WoWとそれ以外のMMO、ひとりの強者と多数の弱者というものである。WoWキラーとして一部から期待されていたSWTORの攻勢は、今のところはWoWの硬い鎧にちょこっとくぼみをつけるだけで終わってしまっている。 

2.EAへのヘイトはとどまるところを知らないのだろうか?

 二つ目の話題は、大手パブリッシャーとインディ(独立系開発者)という軸である。ヴィデオ・ゲームだけ考えたらどーってことない話かもしれないが、現代社会全体を見渡すなら、ここに書いたものの中でおそらくもっとも重要な軸だ。カジュアルとコアとはちょっと、いやぜんぜん違う。

 そしてMass Effect 3のエンディング騒ぎ、Dragon Age 2に対するオールドスクール派の罵声、BF3やCoDMW3に対する轟々たるヘイトの嵐、それらの裏返しとしてのSteam、ニューウェルに対する信奉、それらすべて関連している。 

 この軸の命名は、今のところちょっとよいものが思いつかないが、権威の行使と権威の拒絶とでもしておきます。 

 なんのこたない、今の世の中で起きているたくさんのことが、たったこれだけで解けてしまうんですけど。

 EAのOriginについて、先日Valve/Steamのニューウェルが、ライヴァルへ皮肉たっぷりのエールを送ったというか、感想を述べていた。

「(訳:Originについてどう思うかという)その質問からは逃げないよ。あちらもまだまだ完璧とはいかないようだね。頭のいい連中をたくさん雇ってやっているようだが、大勢の先駆者たち(訳:つまりSteamを含む)が今まで長い間辿ってきた道をなぞっているところなんだろうね」

"I don't want to dodge the question - I don't think they're doing anything super-well yet. They have a bunch of smart people working on it but I think they're still playing catch up to a lot of people who have been working in the space for a while."

 http://games.ign.com/articles/122/1223913p1.html 

 Minecraftの共同創業者Markus Persson、またの名をNotch、もEA批判。

 EAが、Originで独立系開発者(インディ)のソフトウェアをSteamでまとめ売りしていることにご立腹のようだ。ツイッター。

「インディ・バンドル? そいつはやっちゃいかんぞ、EA。なんでもかんでもぶち壊しにするのをやめないか、この、上から目線のばかどもが」
「ゲーミングを救っているのはインディだ。ゲーミングを片っ端から着々とぶち壊しているのがEAだ」

"EA releases an "indie bundle"? That's not how that works, EA. Stop attempting to ruin everything, you bunch of cynical bastards."
"Indies are saving gaming. EA is methodically destroying it(.)"

 Notchは、後に以下のように発言の意味を補足した。「バンドルの中身のゲームにけちをつけているのではない、EAにけちをつけているのだ」

"I got into trouble on the interwebs again! The games in the bundle are good, I'm not questioning them. I'm questioning EA."

http://www.gamespot.com/news/ea-destroying-gaming-says-minecraft-creator-6374907

 つまり、EAというメガ・パブリッシャーが、(定義上メガ・パブリッシャーから自由であるはずの)インディのゲームをまとめ売りするという、見方によってはきわめて醜悪な形容矛盾、自家(自己)撞着をきたしている、という批判でしょう。

 さらに根底には、EAがヴィデオ・ゲームのよいところを、なにもかもぶち壊して回っているという、拭い去れない不信感があるのでしょう。

 原文"methodically destroying" は辛らつです。私はナチスのガス室や中共の文革、クメール・ルージュの大殺戮などを想起してしまう。体系づけて、組織的に破壊(殺戮)を繰り広げるというのだから。

 面白いのは、次のちょっと前の記事では、Notchが自分の会社であるMojangはもう以前のような会社ではないと宣言していること。

 http://www.gamespot.com/news/minecraft-creator-says-hes-no-longer-indie-6349139 

 理由は、従業員の雇用継続の義務に代表される会社存続の義務が生まれたから。
 「私はゲームづくりばかりやっているわけにはいかんのだよ!」ってことですかね。池田さんの声でお願いします。

"I don't think [Mojang] are indie in the sense of how I used to work any more because we have a payroll to worry about and we need to do stuff to ensure the company lasts. We have other stuff, which influences what we do other than trying to focus on the games."

 だが「Mojangはもうインディではない」というのはGameSpotの拡大解釈。Notchの発言は下のとおり。

「会社(Mojang)は自分が以前用いていた言葉の意味では『インディ』ではなくなった・・・。だが、外部に依存することなく自分たちの遊びたいゲームを作る会社であるという意味なら、我々は今だって立派に『インディ』だ」

"As a company, I don't think we are indie in the sense that I used to mean it…but in the other sense of indie, as in we make games we want to play without having any external dependencies, then, yeah, we're indie," he said.

 当のEAは、Origin(のゲーム認証)に致命的な欠陥・不具合があることを公式に認めたようだ。  

http://www.gamespot.com/news/ea-admits-origin-communication-falling-short-6374910

http://www.ea.com/news/the-origin-conversation

 そして、EAはファンの声を聴く態度が足りなかったと反省している(ふりをしている)。これからは心を入れ替えてファンのフィードバックを広く求める(ふりをする)そうだ。

 そうじゃないんだよな、EA。それじゃBioWareとやり方が一緒だ。それじゃ何一つ解決しない。
 なぜなら、Mass Effect 3の騒ぎでBioWareが一部過激なファンから糾弾されたことと同じ陥穽に落ちるから。つまり、結局ファンの話なんて全部は聴けないから!

 そして、万が一全部の意見を聞けたとしても、もはや「権威」を拒絶している者たちが、その権化たるEAの話を真に受けるとは思えないから。

 ここでもまったく逆の発想からプレイヤーと付き合っていこうとしている(そしてそうしてきた)Steam、ニューウェルの賢さが際立ってしまって、それはそれで腹が立つ。

 最後に、過去にも紹介したニューウェルのせりふ、何度でも引用しよう。なぜなら、これこそが普遍的な知恵だから。

"Q: How do you sit down and try to extract the data about which players are going to bring value into the game without almost embedding people into vent servers to listen to how they interact?

"A: Well, we all play games all the time. It’s not Valve who will be saying that somebody’s more or less valuable, right?

Q:不平不満はけ口サーヴァーなんて用いていないのに、カスタマーの声を聴く、実際のデータ解析方法は?

A:俺たちも四六時中ゲームで遊んでるよ。(訳:フォーラムで騒いでいる)どこかの誰かが他の誰かより重要だなんて、Valveの俺たちが言うと思う?

(この応答の中身が知りたければ、拙訳は次のリンクで)

http://vanitie3.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-af05.html

 

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コメント

久々にVani節が聴けた。(笑)

大作ゲームのローカライズ版のラッシュも終わり、さてどうするかなぁ、と思案中です。
ものは試しで「Dragon's Dogma」のデモ版なんぞを遊んでしまった。
私にしてみれば何と10年以上ぶりの国産ゲームなんですよ…。

Dragon's Dogmaは、オープン・ワールドの洋ゲー風・RPG風のアクション・ゲームなのかな。
海外市場を狙ってか、音声は英語&日本語字幕。
デモ版なので雰囲気はまずまずとしか言えないです。
私がびっくりしたのは、あと20日ほどで発売なのにもかかわらず、販売に向けての布陣のすごさ。
すでに公式サイト・Wikiはけっこう進んでいますし、数々のキャンペーン、コラボも用意されてます。
水野良+末弥純のノベルまで…。
早くからニコニコでゲームの紹介・宣伝、動画配信はもちろんですね。
カプコン恐るべし。やれる事はなんでもやっちゃうぜ、という感じ。
目だったバグがなければ売れそうな気はするけど。
ひょっとしたら某大型掲示板での悪評封じの桜キャンペーンもコントロールしてるのかも…。
こんなことで驚いてる私って、国産ゲーム音痴なのでごめんなさい。

SONYも51歳の若い社長さんになりました。
エレクトロニクス部門の不振もあるでしょうが、この方ゲーム畑の人らしいですね。
日本のゲーム業界・市場も何か動きが出てくるのかしら。

 Vani節って・・・(苦笑)。いったいどこがそうなんだろう?

 国産ゲーム10年ぶりってのはちょっとすごいですね、私などより筋金入りの洋ゲーファンなのか、それともただゲームをやってなかっただけなのか。

 ドラドグ?(略称はなんだろうね)はデモをやりました。ん、味わいがなんか違うと思って調べたのですが公表されている製作陣はみんな日本人ですね。
 個人的にめぼしい批判は次の一点のみでした。

 ヴィジュアルがDemon's Soulを意識しすぎ!
 あと、狩りがあまりにモンハンすぎ!(二点か)

 カプコンはゲーム隆盛期(80年代初め)から独立して生き残っている大手ゲーム会社の数少ない最後の砦のひとつでしょうか?(厳密に言えば途中で分社はしているみたいだが)
 他には、コナミはスポーツ事業に一部ひよっちゃってるけど、最後の砦の資格はある。
 それ以外はアトラスは違うし、日本ファルコムくらいかなあ。あそこも拡大路線ではないんだよね縮小均衡路線。渋いところでアートディンク?(ちょっと意味が違うかも)
 端的に言えば、カプコンはモンハンなどでお金が儲かっちゃって、使い道がなくてしょうがないということではないのだろうか。

 大型掲示板は今でもまだ威力あるんだろうか? (覗いたことも数えるほどしかない)私は国民の注目は動画のほうに行ってしまってんじゃないのかと思っていたが、その動画もなんか市民権を得たとかお祭り開いて喜んでるみたいだから、そろそろおわりのはじまりではないかな。
 
 なんであっても一般国民に認知されたら、おわりのはじまりですね。だから、モバゲーもスマホももうすぐ終わるのだろう。 

 ああ、こういうところかな、なんとか節とか言われるのは。

 そしてモバゲーのガチャ規制。やっぱ一般国民に広まると必ずこうなっちゃうんだよね・・・。
 (たとえばMMOのように)コアファン、好事家だけがやっていたら警察(公取か)が口出すわけないもの。って今は消費者庁所管なのか。迫力ないな。

 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120504-OYT1T00821.htm?from=top

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