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2012年5月 6日 (日)

Valve組織論(3)

 今度は、ほんとうのスモール・オーガニゼーション、独立系ゲーム開発会社からはValveの発想はどう見えるか、というお題でしょうか。

 Brenda Garno-Brathwaite 氏は、業界で30年以上活躍している女性で、現在ではLootDropというソーシャル、モバイルのゲーム会社を共同設立者John Romeroとともに立ち上げている。

 スモール・オーガニゼーションでは、本当に必要な狭い範囲の資質を有する人材を必要なだけ雇う余裕しかない。 Valveの発想はユートピア的に思われるが、彼女は実はきわめて真剣な決意表明に裏打ちされたものではないかと考えている。

「多くの人たちがValve組織のユートピア的な部分だけ読んで、『こいつはすごい、これならやりたいことはなんでもできるんじゃないか。気に入らないことがあったら机と一緒に別のところに逃げればいい(roll my desk away)んだから』と考えているんじゃないかしら。きっとページ39(注)の『プログラムするか、されるか』まで読んでないんでしょうね(訳:本当のマニュアルにあるわけではなく、彼女のしゃれだと思います)。この会社は『そう、われわれは君を信じている』と言うときには文字通りの意味だけじゃなく、多くの優秀な者たちに囲まれている限り、あなたも日々より優秀になっていかなければならないという企業文化があることを表明しているのでしょう。Valveのゲームを見ていたら、あそこで働くことには他にはない意義があることは疑いようもない。でも、従業員は継続的にベストを尽くしていなければならないわけだし、自分を継続的に改良していくってことは、実は容易なことではないのだからね」

(注) コンファーム。マニュアルの実物をPDFで入手したが、ページ37までしかない。さらに原文の"roll my desk away"は、Valveのデスクが本当に簡単に移動可能なように設計されていて、その方法までマニュアルにきちんと記載されていることを示していました。笑える。入手場所は次。ご利用は自己責任で。

http://www.flamehaus.com/bbs/viewtopic.php?f=13&t=163319&p=3637282#p3637282

 彼女はフラットな組織より、協業を促進する小さなグループが重要であると考えている。

 かつてゲーム業界のある大企業に勤めていたとき、彼女は七人のシニア・デザイナーのひとりであったが、まるで豪華ヨットを一本の櫂をこいで前に進めているような感覚がしたそうだ。すぐに呼び集められる小さなチームなら、メンバー間の親密な付き合い(feeling of intimacy) もできるようになる。大プロジェクトで喪われているものがそれだ。

 最後は、Robert Bowling氏、Infinity Wardのcreative strategist(意味不明(笑))で、Call of DutyシリーズのPRの顔であったが、最近退社してRobotokiという会社を立ち上げた。 

「クリエイティヴな才能の持ち主は一般の就業者とは違うんだ。クリエイティヴな分野における作品との向き合い方、自分の仕事との向き合い方、それ自体がただの仕事じゃないんだ。とてもフレキシブルでなければならず、デザイン上の思いつきを試す行動の自由も必要だし、それらがなければよどんだままになってしまう。もし飽きてきたら、自分の携わっているプロジェクト自体に嫌悪感を抱くことになってしまう」 

 ゲーム開発者の最良のアイデアを解放する方法を見つけたのはValveだけじゃないという。
「ゲーム・ジャムというモデルを試している会社は多い。そこでは『自分の作りたいゲーム、やりたいことをなんでも言える』時間が与えられる。今手にしている期限の限られた『やることリスト』から思考を切り離すことができるんだ。そこから以前は計画すらしていなかったイノヴェーションが生まれる。開発リソース上の制約を自分で勝手に持ち込んで、できないと思っていたことができるようになる」

 Valveの従業員マニュアルには感銘を受けたそうで、一度彼らとじっくり語り合いたいという。いいものを自分の新しい会社に持ち込むことにも躊躇はしないだろう。新しい会社では特定のプロジェクトの方向性は明確に示す主導的役割を発揮したいそうだが、個々人が情熱を持てるアイデアを見つけたらそれを追求する自由は与えるべきだと考えているそうだ。

「大組織の運営がおそまつなのは、個々人がひとつの巨大なマシーンを動かす歯車でしかないからだ。それぞれにマシーンを動かし続ける役割がある。でもそれぞれの歯車は相互に取替え可能にしなければならないんだ。誰かは誰かと交代することができて、また別なことをすることができて、それでもマシーンは動き続けるようになっているべきだ。人々は歯車ではなく個々人の力として見なければならない」 

 ニューウェルの賢者の言葉ではじまった記事の最後をしめくくるにしては、しょーもないあんちゃんの青臭い陳腐な言葉なのだが、まあ、CoDなどのFPSを作ってた人だから仕方がないだろう。最初から発言に期待はしていない。

 ユーザー・コメントでも「CoDは、ロボットのやつらのためにロボットが作っていたのか」と辛らつなやつがあって受けた(笑)。

 まあ、CoDでも出さないとIGNもページヴュー稼げないからかねえ・・・。

 この組織論の話題なら他に聞くべき相手がいたんじゃないのか。
 EAのCOO、悪の公爵ムーアとか。
 Infinity Wardにこだわるのであれば、それこそActivisionBlizzardの皇帝陛下コティック(社長兼CEO)とか。

 でも、まあまあ面白かったですね?(強要)

 私としては、最初期待していなかったEpicの人の「できているかどうかが重要じゃない、そこを目指しているかどうかが重要なんだ」ってのがいいですねえ。そしてLootDropの人がいう「チームメンバーの親密な間柄」というのも、当たり前すぎるけど実はとても大事なのでしょう。 

 ヒトは所詮サルのなれの果てでしかないんだけど、サルは明日はよい日にしようとは思わないわけだからね。ん、もしかして思ってるんだろうか?

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