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2012年8月15日 (水)

AAA級ハードコア・ゲームの終焉?

 BioWareのDLC戦略についての記事を書いていて、IGNのちょっと前の記事を思い出した。

 「AAA級ハードコア・タイトルは滅ぶのか?」

 http://www.ign.com/articles/2012/07/30/are-aaa-hardcore-games-doomed

 ここでもよく紹介する、エディターColin Campbell氏の(いつもどおりに)とっても長い力作である。全訳は大変なので要旨だけを拾ってみる。

・PS3とX360のマルチ・プラットフォームの場合、平均的なゲームの開発コストは20百万USD以上であり、概ね200万本を売り上げないとペイしない計算だ。それらのゲームは収益を上げられなくなってきている。
 より大きな売り上げを目指すAAA級タイトルの開発には50百万USDから100百万USDを必要とする。

・5年後にゲーム市場は670億USDから820億USDに成長するという予測があるが、その場合の伸びが期待されるのは主としてPCとモバイルの分野であり、しかも新興国がかなりのシェアを占める。

・AAAゲームの開発コストは、メガパブリッシャー以外には手が出せないレベルに達している。ところが過去2年間で大成功を収めたゲームはAAAでもなければ、コンソール向けでもない。事実、ゲーム市場全体はコンソール向けの市場よりずっと大きく、予算よりアイデアが重要になってきているという説もある。

・AAAゲームの醍醐味は、豪華なグラフィックと印象に残る音響からなる、目もくらむような体験にある。それは他に求めることはできず捨てがたい。
 だとしても60USDはやはり高い。よほど可処分所得がなければ、ひとつのゲームを長く遊ぶため、DLCを買うほうを選ぶだろう。

・RockstarのMax Payne 3の開発コストは100百万USDで、とてもブレイクイーヴン(ちゃらぽん)にはできないレベルだった。スタジオは閉鎖され、別の拠点に併合された。
 Take-Twoによれば、一線級のタイトルの開発コストは10百万USDから60百万USDだが、超一線級の場合はそれを上回る。現在のプラットフォーム向けに開発する限り、コストと開発期間は増大していくだろう。

・THQやSegaはリストラに苦しんでいるが、EAのように好業績をあげている企業もウォールストリートの受けはよろしくなく、株価は低迷している。
 50百万USDから100百万USDの資金を集めることができるのは、メガ・パブリッシャーだけであるが、今その存在意義自体が問われている。

・かつてヴィデオゲームの商品棚は希少であり(訳:つまり、数あるタイトルが狭い店頭スペースを奪い合っていた)、ゲームに60USDも使う奇特なユーザーも希少であり、20百万USDから30百万USDを出資してくれるスポンサーも希少であった。そうしたパッケージ商売の時代にパブリッシャーが活躍するのは当然のことだった。

 (訳:ちょっと注釈。

 「希少な商品棚」の時代に必要なのは、問屋・リテール管理(端的にはバックマージン)、ロジスティクス(在庫流通管理)、店頭プロモーション(販売促進活動ってやつ)。
 「希少なユーザー」の時代に必要なのは広告宣伝などのマス・マーケティング、クーポンやディスカウント(リファンド)、メンバーシップ制による囲い込みなどの相対(あいたい)マーケティング手法。
 「希少なスポンサー」の時代に必要なのは(投資屋の言葉が喋れる)マーケMBAのプレゼン、ファイナンシングのスペシャリスト。
 上記は、パブリッシャーの役割、その存在意義を数え上げているわけです。

 注釈終わり)

 今は事情が変わってきた。F2Pゲームのひとつ(League of Legends)は、あらゆる種類のマーケティングをほとんど行っていないが、42百万ダウンロードを達成している。

・次世代コンソール向けの開発コストは恐れられているほど巨額化はしないだろう。(現世代機(PS3、X360)へのジャンプに比較すれば技術的困難さも低く、マシンパワーも強力になる。
 現時点での開発コストを合理化できる売り上げ(ブレーク・イーヴン)が200万本だとすると、次世代では250万本程度ではないか。 

 PCにしても、パワーの強力化に比例して開発コストが巨額化するわけではない。
 ただし、AAAタイトル間の大型化競争・品質競争が過熱化していけば、開発コストは非常に高額になることもありうる。コストを抑制するには効率的な開発エンジン・ツール類に頼るしかない。

・映画産業とゲーム産業はまったく違うものだが、トップレベルのゲームに限れば似てきた。高額な製作費をかけ、豪華絢爛な見かけだが中身のなにもない(「アヴェンジャーズ」?)シリーズものが収益の大部分をたたき出す世界になってくるだろう。

 (2010年の調査によれば、US映画の40%が続編、リメイク、改作、過去作の再生(訳:reboot、3D化、ワイド化、画質向上等技術的再生を言っているのかな)であったが、それらは高予算タイトルに集中している。収益の出るブレイク・イーヴン・ポイントが上昇していけば、もはや、気軽なラブコメ作品は製作できなくなるのだ。

・ギャリオット(ロード・ブリティッシュ)曰く、「ゲーム産業も他のエンターテイメント産業同様、ヒット作を生み出さざるを得ない産業だ。素晴らしいアートを創造できる人は数多くいるが、それを巨大な規模で実現しなければ収益は出せない。たしかに誰も知らない穴馬がときたま忽然と現れて評判を取るのは愉快だが、総体では大作主義がこれからもずっと支配するだろう」
 だが映画産業は(3Dはともかく)8年ごとに新技術が生まれることはなく、不確かなコンソール機の動向に左右されることもない。

・大作主義で高額予算が必要となれば、もう誰も冒険しなくなる。AAAタイトルが続編だらけになるのは当然で、「新作」と言っても結局すでにプレイしたことのある内容なのだ。

・EAのマーケティング担当副社長曰く、「確かにこのご時勢に新タイトル(IP)を出すのは勇気がいる。だが、それは生き残るために必要なことだ。EAのような会社がAAAタイトルの新IPをリリースするのであれば、続編、外伝やあらゆる展開によって、リリース後3年から5年の間人気を持続することが求められるし、そうでなければまずリリースしない」
 BFやMEのシリーズは熱狂的な大勢のファンに支えられ、大成功したIPである。だがSyndicate や Kingdoms of Amalur のように良質でも商業上失敗するケースもある。新IPが「リスク」と呼ばれる所以だ。

・買い手の市場は、AAAゲームと低予算の(独立系)ゲームに二極化しているという説がある。
 送り手に目を向ければ、巨額な開発コストの回収をまず念頭に置くためどうしても保守的になるのが前者で、最初から身軽でリスクをとりやすく、自由にアイデアを発展させることができるのが後者であるという見方がある。
 そして今では後者が、前者(の収益性)に大打撃を与えているという指摘もある。

・高額予算が必要なAAAタイトルが収益を上げるためには、賢い投入資金戦略が必要になる。CoDのように毎年リリースを行うタイトルのため、厳密な開発スケジュールを立て、開発工程を効率化し、スピードアップを図る方法がひとつだ。CoDが2年サイクルの開発スキームでできるのと同じことをMax Payne 3の場合は8年もかかったのだとしたら、その差はあまりに大きい。

・今やゲームはスマホ、モバイル、タブレット、PC/Macなどあらゆるところでプレイされているので、コンソール向けの60USDのタイトルに固執してはいけないという意見がある。
 コンソール・メーカーはこうした変化を困惑して見つめているだろう。
 ウィル・ライトによれば「コンソールの連中はみな怖くておじけづいているところだと思う。ハードウェアの問題ではなくて、F2Pなどのビジネスモデルが問題なんだ。自分たちの足元を揺らがす色々なことが起きている」

・新しいコンソールはSteamやApp Storeの成功を手本に、デジタル・ダウンロードと、低予算ゲームにフォーカスしたものになるだろう、という予測がある。ある業界アナリストの予測では、2017年(5年後)までには、コンソール向けゲームの収入は39%がデジタルにシフトするだろうとしている。

・低予算ゲームで成功を収めた「才能」を大企業が取り込み、より大きな成功を目指す、という方向性もある。(訳:これは、Ubiの偉いさんが言ってるんだけど・・・。「トリコ」の上田さんじゃないけど、言うは易く行うは壮絶に難し、なんだよな、きっと)

 とかくゲーム産業においては、「目の前に迫った破局」などと騒がれたことは、大体後から間違いであったとわかったり、少なくとも、まったく違う新しい展開のシグナルであったとわかったりすることは常である。(訳:ゲーム産業に限らないですね)。

 60USDのAAAタイトルは、しっかり作れば、今でもゲーム産業の頂点にいることは間違いなく、多くの者にとっては、ゲームをプレイする唯一の目的でもある。ビジネスの観点からみれば、そうした顧客は忠誠度が高く、貴重なのだ。 

 ギャリオット曰く「ハードコア市場はなくなったりしない。開発チームの全霊を傾け、コンピューターの性能のすべてを引き出して作り出しているのは、ゲームの世界の中に限るとはいえ、もっとも洗練されたリアリティなのだ。そこら中走り回ってドンパチ撃ち合ったり、本当に難しい謎を解いたりする、そういうものがなくなったりはしない」

 ゲーマーの年齢層もあがってくる。20年前にPSで遊んでいたのは5歳から25歳の間。今は6歳から45歳の間であり、10年後には55歳まであがる。 

 小さなチームのアイデアが小さな予算で成功を収め、小さなリスクが克服できると証明したなら、大きな予算をつけることのできる者たちは、そのアイデアを使ってより大きなリスクも許容するようになるだろう。 

 大手パブリッシャーはリスクを分散させるために、可能な限り多くのプラットフォームに分散させることになるのは間違いない。新世代プラットフォームが出るまでには、現世代機はまた一段のプライスカットを行うだろうし、まだそれらを手にしていない者たちが購入するだろう。ゲーム開発に巨大予算を必要とする大手にとって、その苦痛とリスクを緩和し、ほっと一息つけることになる。

 だが、大手パブリッシャーが大きな賭けを行う可能性がずっと減っていくのは間違いないし、過去の経験からみて成功の可能性が高そうなゲームに集中するのも間違いないだろう。
 AAAゲームが生き残るためには、過去に安住しているわけにはいかない。ゲーミングの歴史の教えによれば、古いアイデアがいつまでも長持ちすることはなく、勝利を収めるのは果敢な新しいアイデアなのだ。

 イヴ・ギルモ(Yves Guillemot、Ubiの共同創設者の五人兄弟のひとりで現会長・CEO)曰く、「皆に買ってもらえないかもしれないからリスクが取れないというなら、革新はない。そして革新がなければ、みなが飽きてしまう」

**********

 いかがでしょうか?

 任天堂が終わった、ソニーが終わった(いや、確かにソニー本体は終わるかもしれないけど。パナソニソニックになるかもしれない)とか、ゲームもわからん日本の新聞屋とかアナリスト風情が「目の前に迫った破局」をニコニコしながら騒ぎ立てていますけど、死ねばいいのにと思いますね。つか、3年後か5年後くらいにジャンプしてみたいですよねー。 

 iPhoneとかなくなってたりして(笑)。Windows Phoneが席巻してたりして(ないない)。
 iPadよか、WikiPadが売れてたりして(ない)。

 でもまあ20年以上続いた、コンソールに安住って商売はもう無理でしょうね。
 だからDQXが別に堀井さんのわがままだけでああなったのではない、ってのはわかるんですが、いまどきMMOじゃあねぇ・・・。

 それこそすれ違いを発明したDQシリーズにしては、あまりに「保守的」ですよね。

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コメント

$60(ゲーム相場で行けば6千円?)は高いの?と思うのは、金持ち日本人だからでしょうね。他所の国の兄ちゃん姉ちゃんは家は大きくてももっとずっと貧乏。ましてやアジア諸国は。

猫も杓子もMMOなのは、WoWの大成功を見ての大陸中国狙いもあるんじゃないでしょうか。売り切りパッケでアジアで利益を出すのは無理でも、ゲームタイムカードなら何とかなる(と思っている)から。インドとかどうなんでしょうね?英語が通じてスマホも利用率が高い。あ、それはソーシャルゲームの方ですね。

ともあれPCゲームにもまだ生き延びる道はありそうで、ちょっと嬉しいです。任天堂?あんなん、潰れてもかまへんがなw

 半島国MMOは、当時、島国にはもうブランドでは絶対勝てなかったから、苦肉の策であった。
 大陸国MMOは、せめてセキュリティ・ブリーチが少ないほうを選んだから。(穴だらけだけど)
 台湾MMOは、アメリカに留学した人がアメリカモデルを墨守して起業した(開発はなぜかドイツと組んだりする)。
 インドは・・・。MMOなんかきっとバカにしてしないんじゃないかな。そんな暇あったらゲームに限らずもっと高度なシステムを組んじゃうんじゃないかな。
 トルコは・・・。特定のMMOが爆発的に華盛りだそうです(国家規制が厳しいからなんでも自由ではない)。ここはマーケティング上ねらい目。
 ロシアは・・・。まず自国民は英語使う気もないし、サーバー管理とかむちゃくちゃやりそう(キリル文字の画面だから!)なのでインターナショナルMMOは無理かな。戦争系マルチプレイにはそれなりに気合入れてますけどね。でもトラスト・ミー、サーバー管理とか超適当。
 ブラジルは・・・。よく知らない。誰か教えてください。言語がポルトギーズはやっぱ、きっついかなあ・・・。スパニッシュとの差が。お金持ちは英語またはスパニッシュで北米MMOやってるのかな?
 
 MMOは決してゲーム発展上、通らざるを得ない一形態ではないのです。むしろ仇花。
 コンソールモデルは、MSが意地でも割り込んできたことでおわかりのように、これまでは王道中の王道。だってユーザーにしてみれば、面倒なことはベンダーに任せて、DVD/BDディスクさえ手に入れれば、なーんも考えないで安心してゲームが遊べるんですよ。
 でも、もうその治世もそろそろ終焉を迎えるのかなあ、ってのは当然予期できる。

 
 
>任天堂?あんなん、潰れてもかまへんがなw
 
 マリオとポケモンが健在な限り残りますけどね。したたかでっせ。京都あほにしてへーけへん(京都弁翻訳ソフトによる。信憑性は知らん)。

連続映画レポートを楽しみながら、
「Vaniたん、元気過ぎ~」と羨ましがってました。
次は、「バイオ」か?

>新聞屋とかアナリスト風情が「目の前に迫った破局」をニコニコしながら騒ぎ立てていますけど

ゲームに限った話ではないだけに、こういうスタンスが一番腹立つ~。
実は、その先を考えてない・考えられない連中が多いんでしょうなぁ。

>すれ違いを発明したDQシリーズにしては、あまりに「保守的」ですよね

先日、レトロ・ゲー(レゲーっていうのか?)好きな人がDQ9をやってましたので、「すれ違い通信どうなの?」って聞いたところ、「すれ違った人、0(ゼロ)です~」と返ってきた。
やっぱりというか、当然ですね。(笑)

>次は、「バイオ」か?
 
 順番だと"Total Recall"でっせ(私はジョボボビッチの大ファンだけど、バイオファンではないのです)。
 だいたいヴァーホーヴェン(バーホーベン)大先生の映画をリメイクとは、控えおろう、頭が高い!
 つか、原作がディックなんで、ディック命の私は必ず観ないといけないんです。 
 
 あとは、コッポラの"Virginia"(原題Twixt)。東京でも(私が避けたい)単館系一館しかかからないのでほんとに観にいくかどうか考えると心が折れそうだが、エドガー・ポーのお話なんですよ。ポー命の私は(以下略)。

>新聞屋

 まあ、何が起きても大丈夫な「安地」(MMO用語?)から攻撃、ってのは基本ですけどねえ。

 
 
>すれ違った人、0(ゼロ)です~

 それがほんとの、すれ違い。
 いや、座布団はいいです。

 

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