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2012年9月15日 (土)

Project Eternity

 これが「Obsidian最期の戦い」にならないことを切に願っています。

 http://www.ign.com/articles/2012/09/14/obsidians-fantasy-rpg-reveals-founders-true-desires 

 ウロボロス(自らの尻尾を呑みこんだ蛇、無限・永遠の象徴)に囲まれた「4」という数字。そのイメージのみのティーザーが二、三日前に出ていた。

 この4人のことだったのだろうか?

 Feargus Urquhart

 Interplay EntertainmentのRPG部門として1997年に設立されたBlack Isle Studioの当初からのリーダー。よって当時からの全てのゲームに関与している。
 2003年にObsidian Entertainmentを設立し、CEO。現在に至る。

 Chris Avellone

 Fallout 2の開発にも参加しているが、最も著名な作品はリード・デザイナーを勤めたPlanescape: Torment(1999年リリース)。
 Icewind Daleシリーズなどに参加し、Star Wars: Knights of the Old Republic II(2004年リリース)でリード・デザイナー。Neverwinter Nights 2(2006年リリース)などを経て、ObsidianでFallout: New Vegas(2010年リリース)に参加。

 Tim Cain

 Fallout(1997年リリース)のリード・プログラマー、デザイナー、後にプロデューサーも兼務。翌年退社してTroikaを設立し、Arcanum、The Temple of Elemental Evilのリードを務める。Vampire: The Masquerade – Bloodlinesにも関与。
 2005年に資金難からTroikaを閉鎖、しばらくNCSoft関係MMOプロジェクトのプログラミング教育などで禄を食み、2011年からObsidianのシニア・エンジニア。

 Josh Sawyer 

 Black IsleのWebデザイナーとして入社後、Icewind Dale II(2002年リリース)ではリード・デザイナーを務めるまでになる。Black Isle閉鎖直前までは幻のFallout 3のデザインをしていたとも。Midwayを経て、Neverwinter Nights 2のリード・デザイナー、Fallout New Vegasのプロジェクト・ディレクター。 

 彼ら4人が集結して、CRPGのまったく新しいフランチャイズ、「プロジェクト・エターニティ」を立ち上げる。
 往年のBlack Isleを知るオールド・タイマーのファンにとっては、心躍る布陣?

 素直に喜べない理由は、これがいわゆるクラウド・ファンディング(Crowd Funding)の先駆的立場にあるKickstarter向けのラインナップだろうと感じられてしまうこと。

 クラウド・ファンディングとは、昨今究極の投資方式などともてはやされているが、ぶっちゃれば多数の極小額投資家が、比較的高額の投資案件を分担して負担することであり、形式的には従来からある一口馬主、一口森林オーナーと同じことだ。
 もっとさかのぼれば、日本でいう無尽講も発想は近い。 

 インターネットを介して行われるとき、災害支援、市民ジャーナリズムなどにも用いられるし、「草の根」政治活動や、営利企業の資金調達でも例があるが、元はポップ音楽バンドのコンサート費用、レコーディング費用捻出手段として脚光を浴びてきた。

 Kickstarterは独立系(インディーズ)アートである音楽、映画、ヴィデオゲームなどの創作支援を事業目的として設立された。

 詳しいメカニズムは省略するが、Kickstarterは、独自の一定基準を満足した候補プロジェクト(慈善活動、目的不明瞭なものは認められない)の必要資金について、期間を限って広く公衆から(一般にはインターネット経由で)募集する(場を提供する)。

 希望者たちは当該プロジェクトに出資の意思がある旨表明する(この時点では金銭のトランザクションは行われないか、エスクロウ(トランザクションの代行)業者としてAmazon Paymentsが出資希望者からいったん預かるのでしょうかね。どっち道トランザクションに必要な全ての情報はAmazon Paymentsに送られている)。

 期限までに目標資金額が集まらない場合、当該候補プロジェクトは「ボツ」になり、資金は集められない(トランザクションは行われない、あるいはAmazon Paymentsから投資希望者に返却される)。
 目標資金額が集まった場合には、Amazon Paymentsを通じて実際にトランザクションが行われる(希望者たちは実際に出資したことになる)。出資は全世界どこからでも行われるが、候補プロジェクト(資金募集者)はUS住民に限る。

(つまり余談ではあるが、十億円を超える寄付金のやり場に困っている東京都知事は、寄付を募る際にそういう手段を用いればよかったのだ。だがこのメカニズムの場合は匿名では実行できないわけで、集金額がそのおかげでどれだけ減るのかはわからないが)

 KickstarterとAmazonは集金された金額からそれぞれ5%程度のマージンを最初に抜き取る。またプロジェクト成果物の著作権についてKickstarterが保有することは一切ないが、Kickstarterサイトで公開された資料類は削除されずに保存される。 

 実際に資金が集まったとしても、候補プロジェクトが思惑通りに進む保証も、そもそも資金が当該プロジェクトに用いられる保証も、当初見積もり額が十分である保証も一切ない。 

 Kickstarterは、それら予期せぬ結末について何の責任も負わない。資金を募集した候補プロジェクト側には不履行の場合は法的制裁がありうると指摘しているのみであり、出資者は自己責任で投資するように注意喚起される。 

 まあ、「楽天」なんかとやってることは一緒。あくまで「場」を提供するだけでミカジメ料を掠めとる商売。テキ屋相手のやくざ商売や、ヴェガスのマフィアなら、祭り場の「警護」までしてくれるが(ミカジメ料にはセキュリティ・アドヴァイザリー・フィーが含まれるから(笑))、「楽天」はなんもしてくれない。

(以下、補足を追加。これが「投資」である部分の説明が抜けていた)

 もちろんKickstarterはネット取引市場ではなく、「先行投資」の場であるので、「楽天」とは異なる部分がある。
 このObsidianのゲームの場合、投資家サイドから見たリターンは、投資額と完成ゲームの価額の差がまずひとつ。35USDの先払いで将来おそらく50USDから60USDで売り出すと思われる完成ゲームを入手できることになる。あくまで完成すれば、だが。完成しないリスク、不出来なリスクの大きさは各人で予想するしかない。

 それ以外にも高額出資を奨励するため、最大1万USDまでの投資オプションがあって、それぞれ特典がある。最高レベルであれば、開発者とゲームができる、完成発表パーティに出席できるなど、私からすればとても間尺にあわないとしか思えないような「豪華」特典が入手できる。金がうなるほどある人向けだろう。

 その中間には、いわゆるコレクターズ・キット的な特典や、開発者のサイン入り冊子などの特典がある。 

 そうした特典を先行投資に対する「リターン」と呼ぶのはそぐわないかもしれない。なぜなら出資の時点で手に入ることが明らかなものが大多数だから。完成記念パーティーが開発頓挫の残念会になるかもしれないけど、開発者のパーティー自体は開催できるしね。暗い会になりそうだけど。 

 よってここでは純粋に、ゲーマー個人が小額の先行投資で、フルパッケージ、フルプライスの完成ゲームを(このゲームの場合ダウンロードで)入手できること、というのが「リターン」と言い切っていいと思う。現時点で不確かであるから。
 (ダウンロード販売のゲームなので、個人ではなく転売などの商業目的でこの案件に投資することは、もともと意味がない。フィジカル(現物)商品の場合はどうであるか、残念ながらそこまで調べていない。)

(補足追加分終了)

 Kickstarterは、いかにも「民主的」な、次世代の夢の投資方式だと思いますか? しかも投資家たちは、いたいけなインディーズ・クリエーターが世に出ることを支援する、ある種「慈善的な」事業に参画していると思いますか? 

 経済の話してもいいですか?  

 「株券」というものは日本では存在しなくなりましたが、取引単位はありますね。100株とか、1000株とか。

 一般市民(市井の潜在投資家)にとってそれが大きいほうがいいと思いますか?(つまり任天堂の株を買いたければ最低でも100万円がいるとしよう) 小さいほうがいいと思いますか?(任天堂の株が100円から買える)。

 もちろん絶対額にもよりますが、一般に取引単位額が下がるほど、一般市民(市井の小口投資家)の権利は毀損されます。

 毀損されますっていうか、現時点で権利などすでにありません、と言い切ってもいいかもしれない。
 株式は議決権とリンクしていますから、細かく刻めば刻むほど小口投資家の発言権は細かくなっていく。全体から見て十分に細かくなれば実質発言権は「ない」。 
 だから最初から発言権を放棄するケースが多い。必然的に大口投資家の発言権が堅固になっていくのですね。 

 取引単位が小さいほうが皆が「権利」を手にできるから「民主的」というのはとんでもない誤りです。いや手続きこそ「民主的」かもしれないが、そこから「独占」が生まれてきたんですね。民主主義が独裁者を生む、って話とは違うメカニズムだけど。

 facebookの例を見ても、企業は最初から大口投資家しか相手にしない、ってのはわかると思うのですが。小口投資家は大抵ババを引く。

 でも公開株式の場合は(大抵の場合)「気に食わなくなったら売る」ことができる。大抵の場合というのは、買い手がつかず売り逃げそびれる場合があるから。その場合はご愁傷様。

 一口馬主ってのは、そもそも「ギャンブル」の世界の話です。投資がコケたって諦めがつくでしょう。いやコケたってへっちゃらな人がやるものだ。

 一口森林オーナーは、まー、なんつうんすか「善行」のつもりでしょう。出資した時点で勝ってますよね? 満足してるんじゃない?

 たとえば、あまりうまくいかなかったけど、日本でも売り出そうとする女性アイドルの証券化プロジェクトってのあったよね。あんなのも「かわいい! 一口乗った!」その時点でもう一般の小口出資者としては満足してるんでしょうね。若い駿馬のメタファーなのか、森林の苗木のメタファーなのか知らんけど。さらに一口投資家があの手口に実際に乗ったのかどうか知らないけど。
 なんとか総選挙で大枚はたいている人たちも発想一緒だよな。

 だから、この手の話に一口乗るなら、ヤバくなったらケツ巻いてオサラバできる(Kickstarterの場合は無理)、ギャンブルだから「成敗は兵家の常」と割り切る、出資の時点で「いいことしたなあ」と満足する、そのどれかでなければならない。  

 なぜ、こんなこと書いているかというと、理由は二つ。実際はひとつか。 

 ・EA/BioWareなどのメガ・パブリッシャー・デヴェロッパーはいたいけなファンを搾取する「悪」の大企業である。
 Kickstarterは無辜な市民を守る「善」なる試みである。高尚な「草の根」活動である。その成功は「群集の英知」(Wisdom of the Crowd)の発露によってもたらされたのである。

 まず、そういう大合唱が聞こえてきてイヤな気持ちになっているから。

 やがて、しばらくしてふたを開けてみれば。出資者たちは思わぬ不出来に直面する。

・「カスタマー(顧客)なめんな!」という声の代わりに「インヴェスター(投資家)なめんな!」という罵声・怒号が飛び交っていることが容易に想像付くから。それでまたイヤな気持ちになるから。 

 ちょっと待て。Kickstarterの売りにはもうひとつあるだろう。開発目論見書などの知的財産を投資家に公開するんだろ?
 でも、投資家にならなくても閲覧できるんだよね。開発がスタートしてから特権的に内部情報に触れることができるってことはないし。
 だいたい、日にちがたつにつれて、どんどんドツボにはまっていくかもしれない開発現場の様子を都度見たいかい?

 Obsidianは資金繰りに大変苦慮している。それは前からわかっていた。

 Kickstaeterは、金欠のObsidianにとってまさにAngel investor、救いの「天使」投資家に見えたのだろう(実際には「天使」は投資家各人で、Kickstarterはミカジメ料を掠めるやくざなのだが、そんなやくざの存在も知らず乗ってくる時点で誰も「天使」とは認められないな)。 

 Feargus Urquhartが上記リンクのヴィデオで、新しいRPGのヴィジョンを語っている。

 Project Eternityは次のようなポイントに注力した全く新しいファンタジー・ロールプレイングである。

・心を引き付けて話さないストーリー
・人間的深みのあるコンパニオンたち
・膨大な探索機会
・より複雑なゲームプレイ
・愉しく戦術的なコンバット 

 まあ、よくもここまでジェネリックな表現を並べたものだと思うが、資金集めが目的のヴィデオであるから、当然なのかもしれない。

 上の5つの要件って、いまやCRPGの必須要件なわけだから。「これからファンタジーCRPGを作ります」と言っているのとなにも変わらないのだ。

 ヴィデオで唯一わかる「仕様」といえば、Infinityエンジン時代のIcewind Daleや、Baldur's Gateと同様、斜め見下ろしヴューを採用しようとしているらしいこと。 

 いつ出るのか?

 Eternityだけに? いつまでも出ないとか?

 Eternityだけに? Obsidian永遠の眠りとか? 

 ん、なに? ウロボロスのイメージが。
 タコが自分の足を食っているようなものだって?

 おいちゃん、それを言っちゃあおしめえよ。 

 祈る心を忘れずに。アーメン

 

 

 9月15日時点(日本)で、0.7百万USD/1.1百万USD、残り31日。 

 資金自体はなんとか集まりそうですね。

 

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