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2012年10月 6日 (土)

Project Eternity 堂々と伝統墨守

 なにがすごいというと、Project Eternityのデザイン面には「なんら新奇性がない」ということである。これがまた完璧に、きれいに、見事にない。

 これまでの分も、これからのUpdateも、「オールドスクール派RPGの教科書」みたいな記述になっている。開発者向け「オールドスクール派RPGツクール」。よく言えばオーソドックス。悪く言えばジェネリック。
 懐古主義、伝統主義とはこのようなことを指すのですね。悪口だと復古主義、守旧主義。
 こういうのは「保守」とは呼ばないんだな。「墨守」か。

 まだ物語の詳細を公開できない(おそらくまだ書いていない)という縛りはわかるとしても、ストーリー面は完璧なまでにジェネリックである。前回(前々回かな)ご紹介した「物語背景」を再掲してみる。

〝物語背景

 プレイヤーは、想像を絶するような恐ろしい超常現象がもたらす出来事を目の当たりにし、それによって他に例 を見ない、難しい立場に追いやられる。その出来事によってもたらされた帰結を重荷として背負いつつ、自分たちの向かう先々まで追従して呪縛する、そのやむことを知らない力からプレイヤーが解放されるためには、あの時何が起きたのか調べ上げなければならない。”

 これ、お気づきのとおり「巻き込まれ型」主人公の物語原型。
 さらに言えば「巻き込まれ型」はObsidianの過去の作品群のメインプロットすべてにバッチリ当てはまる(「想像を絶するような恐ろしい超常現象」という部分に当てはまらないものはある)。
 SWKotOR 2、Neverwinter Nights 2、Neverwinter Nights 2: Mask of Betrayer、Alpha Protocol、Fallout: New Vegas。Obsidian名義ではないが、コアメンバーのひとりであるクリス・アヴェロンのPlanescape: Tormentなんかもそうかな。
 
 別に「巻き込まれ型」が悪いなどとは言っていない。冒険ものは大抵がそうだ。それがなぜかは、こんなジェネリックなRPGの出だしを考えていただければすぐわかるのだ。

 DM(ダンジョン・マスター)「さて、あなたたちが到着した街は、夜な夜なコボルドの襲撃に悩まされている。どうやら周辺の洞窟がアジトらしい」
 パーティー・リーダー「知らんがね」
 メンバー1「最近ねぶそくー」
 メンバー2「暴力ハンターイ、動物虐待ハンターイ」
 メンバー3「じゃあ、もっと静かな街に移ろうよ」

 DMが徹夜して用意したクエスト丸ごと一本が数秒で終わり。ノックアウト。 

 だから、DMは「君のパーティーのひとり(あるいは高次の目的に関する重要物)があらぬ嫌疑を受けてつかまり牢屋にいる。町長は出してほしかったら取引すると言っている」とか、「パーティーは井戸水を飲んだおかげで遅行性の毒に汚染された! 解毒剤の製法を見つけると言っていた薬剤師はコボルドの洞窟から帰ってこない」とか、なんだかんだでプレイヤーの行動に縛りを入れるわけですね。後者の場合は、どうしても手助けが欲しい町長がパーティーのメンバーを騙して無理やり毒を飲ませたでも面白いかもしれないが。
 縛りを入れる(プレイヤーや読者・観客のコミットメントを要求する)ためには「巻き込まれ型」が一番無難な方法でしょうか。
 Dragon Age: Originsのオリジン・ストーリーだって「巻き込まれ型」が多い。DA2はそのまま「巻き込まれ型」であるし。Mass Effectのシェパード艦長だってビーコンを発見してしまったが故に巻き込まれ、「俺が(私が)やらずに誰がやる」の世界に突入した。

 「巻き込まれ型」自体は陳腐だが、見せ方によっては素晴らしくなる。Fallout: New Vegasの冒頭シーン(ゲーム史に残ると言ったら言い過ぎか)のように、見事なものに作り上げることはできる。
 (もちろんFallout: New Vegasのつくり上、あの後クーリエは「わしゃ知らんがね」を貫くこともできないわけじゃないのですが・・・)

 物語背景には「巻き込まれ型」のシノプシス(ですらないけど)をとりあえず置いておく。それは結局、「物語はそれらしかったらなんとでもなるんだろう」という姿勢にもとれるんですよね。ヒッチコックのいう「マクガフィン」に通じる手法だ。ご存じのとおり、ヒッチコック映画には「巻き込まれ型」が非常に多い。
 ここらへんが、オールドスクール派の求める「ストーリー性」と、BioWareあたりが追求するものと一線を画すところかもしれない。

 もうひとつ、「オールドスクール派」が求める「プレイヤーの行動の自由」に関して気になるところ。
 「デザイナーが用意したコンパニオンなど必要ない、強制的に同行するのは許せない、ソロ(ロンリー)プレイの自由を与えよ」という声を意識して、コンパニオンの同行が必須ではない作りとなっているそうだ。
 別にコンパニオンを全部雇いたければそうできるし、いらなければ一切雇わないことができる。それでなんの問題があるのだ。
 Fallout: New VegasもSkyrimも、コンパニオンを無視して進めることができるではないか?

 だがそういう作りにするためには、必然的に、次のような物語方針にならざるを得ない。

〝ここで語られるのは、とどのつまりより大きな世界の社会的、政治的喧騒の中におけるPC(主人公)の個人的葛藤の物語である”
 (the story is ultimately about the player's personal conflict among the larger social and political complexities of the world. )

 
 コンパニオンの同行を拒否する「自由」を与えたが故に、物語設定には「個人的葛藤」という縛りがはめられる。
 

**********

 Update #7

ノン・コンバット・アビリティ

 前段では二種類のRPGプレイヤーの類型について語られている。
 まず、コンバットありきである者たち。彼らが追求するのは、コンバット、ルート、レベルアップ、より大きな敵とのコンバット、ルート、レベルアップ、その繰り返し。
 もう一方にはコンバット以外に重きを置く者たち。彼らが追求するのは、NPCとの会話、見知らぬ土地の探索、様々な選択、それにはコンバットを丸ごと回避するようなものを含む。

 
 プレイヤーのゴール(目的、目標) 

・新しい事柄の学習

 街の場所や隠しドアの位置など未知の情報の獲得、ポーション・レシピやディーモンの真名(the true name)など秘密の知識の獲得。あるいは単に鉱石や薬草を収集しやすい場所。そういった事柄を発見できる能力を付与する。

・世界の探索

 プレイヤーは、(遺跡をスニークして歩き回るような)移動に関する能力の向上、世界をより迅速により安全に旅することができる力、さらには目的地に直接テレポーテーションできる能力などを望むだろう。ときには進路をふさぐ錠前や罠の解除も必要だろう。そういった能力を付与する。

・新しいアイテムの取得

 モンスターを殺してその所持物を奪うことを望まない者には、新しいアイテムを自ら作る、買う、あるいは盗み取る手段を与えることにする。あるいは新しいアイテムを作ってくれそうなNPCのために、必要な素材やレシピを見つけてあげる方法もあるかもしれない。暴力に頼らず、協調的な方法によって富を得ようとするプレイヤーの行動を称賛し、それを支援することにする。

・コンパニオンとの対話

 何人もの興味深い、利用価値のあるNPCコンパニオンを用意したなら、次にはプレイヤーがそれらをリクルートし、利用価値を向上させ、あっさり死んでしまう(さらにひどい場合には、プレイヤーを嫌いになる!)ような事態を避ける方法を与えることにする。コンパニオンとの対話に用いるアビリティを用意して、プレイヤーがコンパニオンを生かし続け、かつ、嫌々ながらでも尊敬を勝ち取ることができるようにする。

 これらそれぞれのゴールは、関連するおびただしい数のノン・コンバット・アビリティを代表している。たとえばプレイヤーの移動に関しては、ステルス、テレポート、ファスト・トラヴェル、エンカウンター頻度軽減、(山岳越え、海路などの)代替移動路である。

 デザインのゴール

・ノン・コンバット・スキルはコンバット・スキルと別に獲得する。
 マジックミサイルとハーバリズム(薬草学)を天秤にかける必要はない。異なる種類のアビリティは、それぞれ別々のポイントを消費して獲得することにする。

・ノン・コンバット・スキルはコンバット・スキルと同じリソースを用いない。
 同じリソースをノン・コンバットとコンバット両方に分配することはない。リソースを全く要しないスキルもあるので、スニークの途中で敵に発見されたからといって、その敵を即座に魔法や爆弾で吹き飛ばせないなどという状況には陥らない。

・すべてのノン・コンバット・スキルには利用価値がある。
 錠前あけ(ロックピッキング)をゲームに取り入れたら、開けるべき錠前を用意し、それを開けることができたらご褒美が手に入るようにする。

・すべてのノン・コンバット・スキルは頻繁に用いることになる。
 罠解除(ディスアーム・トラップ)のスキルを獲得したのに、全ゲーム世界に2つしか罠がないのではないか、などと心配しなくてもいい。活用の頻度は、そのスキルの利用価値に対して大きな影響を与えるからである。

・ノン・コンバット・スキルを用いることで、コンバットを回避できるようになる。
 戦闘を回避するいくつかの方法がしばしば用意される。そう、標準的には口先三寸で逃れる方法、スニークで凌ぐ方法などがあるが、それらに限らない。たとえば、穢された墓地を浄化して再び神聖な場所に戻すことでアンデッドの出現を食い止めたり、倒壊した橋をなんとか渡る方法を見つけて河岸にたむろする盗賊たちを回避することなどができるかもしれない。

・コンバットを回避したことによって獲得経験値が減るということはない。
 コンバット・スキルの代わりにノン・コンバット・スキルを用いたからと言って、レベルアップが遅くなるようなことはない。プレイヤーへの褒賞は、作り出した死体の数ではなく、何を達成したかに基づいて与えるようにする。

********** 

 別段何の変哲もない、ただ昔からの「オールドスクール派」のデザイン方針を声高らかに宣言しているだけなのですが。

 言外には今風(アクション)RPGあるいはMMOの安易なデザインの風潮に苦言を呈している部分も読み取ることができます。コンバットとノン・コンバット・スキルが同じリソース(たとえばマナとかスタミナ)を使うデザインなど、MMOやアクションRPGにはザラにありますもんね。 

 またDAシリーズへの批判めいたもので言えば、錠前とか罠はまだ残っているけど、ピックポケット(すり)とかスニーク・ステルス移動については完全に過去のものと忘れ去られたことがあげられるでしょうか。「ゲームには少なくとも三回以上活用するチャンスがある」というのも、DAOのピックポケットやサヴァイヴァルの能力を揶揄しているようにもとれる。どちらも一回か二回しか使う場面がなかった。

 

 ということで、今回を含めて今まで明らかになったアップデートは、そんなに気合入れて大声出すような内容はひとつもない。

 ずーっと昔からあるグランマの秘蔵のレシピをそのまま使いました、ってだけの話になりそうだ。もちろん、DnDなどの商標関連部分の素材は使えなくなっているわけですけどね。

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