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2012年10月14日 (日)

「盗まれた手紙」を久しぶりに読み終わったばかりで。

 翻訳された丸谷才一さんが逝去されたとの報に触れた。合掌。 

 妙な偶然に少し驚いています。 

 つい先日、むしょうに「盗まれた手紙」他の、ポオの小説が読みたくなって、ずっと昔に創元の「ポオ小説全集」という翻訳版の文庫を読んでいたのだが、どこにしまったか、自宅にあるのか故郷の家にあるのかわからないので、Amazonで注文した。(後からわかる理由で)一時的に品切れであった。全部揃うまでに数日かかるらしかった。

 なぜか一刻も早く読みたくなって、丸谷才一さんの訳された「ポー名作集」(中公文庫)を先に手に入れて読んでしまった。(後からわかったが「ポオ小説全集」の「盗まれた手紙」も丸谷才一訳であった)

 それから創元版が届いて、帯に「推理作家ポー、最期の5日間」"The Raven"(2012)なるジョン・キューザック主演映画の宣伝が載っていた。今日あたりロードショーがはじまっているようだ。品切れだった理由がわかった。

 実際、そういう映画がかかることはまったく知らなかった。(あるいは無意識にどこかで眼にしていたのか?)
 なんか偶然としたらすごいなと思いつつ、昔からキューザックは嫌いじゃないので、観にいこうかなあと思っていた。

 先日上映された、コッポラ監督がポオの作品をモチーフにした映画は見逃しているしなあ。そちらはヴァル・キルマー主演の「Virginia/ヴァージニア」"Twixt"(2011)で、東京では単館上映であったこと、誘った相手の都合があわなかったことから見逃したことになっているが、理由ははっきりいってUSの評判があまりよくなかったから。BD/DVDでいいかあ、と思った。ちなみにヴァル・キルマーも嫌いじゃない。 

 ポオの作品を読んでから、丸谷才一さんが訳したジェロームの「ボートの三人男」(中公文庫)も引っ張り出して読み直していた。例の「犬は勘定に入れません」という、Dragon Age: Origins関係記事でここでも何度か内輪ギャグに用いた副題が付された作品であり、SFではコリー・ウィルスが「犬は勘定に入れません」(ハヤカワ文庫)で、ミステリーではピーター・ラヴゼイが「絞首台までご一緒に」(ハヤカワミステリ文庫)でオマージュしている。

 もちろん、読売などのサイトで代表作とされているのは本業の小説「女ざかり」のほうであり、翻訳ならジョイスの「ユリシーズ」が産経のサイトでメンションされている。今年のノーベル文学賞を逃したとされている村上春樹氏を見出したことはあまりに有名かもしれない。(丸谷さんの文芸作品は独特の旧仮名遣いで書かれていたのだが、ときたま載る新聞紙上の論評などにも用いていた。上述の文庫版の小説はどれも新仮名遣いになっている) 

 思想的傾向は必ずしも広く賛同を受けているわけでもない。私もそこまで賛同しているわけではないが、わざわざここで記事にしているのは、丸谷才一さんの翻訳の文章が、おそらく現在の日本の翻訳文章の基本的な位置をかつて占めていたから、お手本であったと考えているから。(まあ、こっそりいえば筒井康隆先生が尊敬しているから、もあるか)

 ここで英語を翻訳している日本語なども、巧拙の域こそ隔絶しているだろうが、直接的ではないとしても、間接的に間違いなく影響を受けていると思う。

(追加:毎日新聞のこの記事を読んだら、色々ナットク)

http://mainichi.jp/select/news/20121014k0000m040066000c.html

 そういえば、村上春樹氏が英語小説を翻訳したものも、読み出すと癖になるのであった。

 そういった優れた日本語の遣い手の作品を多く読んで、わけのわからない日本語をできるだけ書かないで済むようにしたいものです。 

 「盗まれた手紙」の内容にも触れるつもりだったが、簡単に済ませる。Dragon Age 2でデュ・プイ邸を捜索したシティ・ガードたちのだらしない体たらくぶりとは異なり、パリ市警の捜査手法も組織力も超優秀に描かれているのですね。ところが盗んだ犯人と目される貴族の邸宅を文字通り虱潰しに調べても問題の手紙が見つからない。

(名探偵オーギュスト・デュパンがパリで活躍していたこと、DA2の容疑者デュ・プイの出身は現実のフランスをモチーフにしたオーレイであること、もしかしたらポオのこの作品へのオマージュかなと思いつつ、だとしたらDA2の捜索に関する顛末はあまりにお粗末だなとも思う)

 
 ま、知らない方はぜひ丸谷訳でお読みくだされ。何度読んでも痺れます・・・。内容にも翻訳にも。
 再三にわたる捜索でも見つけることができず、困り果てて相談に訪れていた警視総監の目の前で、デュパンが無言で自分の書きもの机の引き出しからくだんの手紙をあっさり取り出すくだりはあまりにすばらしい。

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コメント

実は1週間前くらいから、Vaniさんに「推理作家ポー、最期の5日間」は観に行くの?って、いつ突っ込もうかと思ってたんですよねぇ。
まさかこういう展開になるとは…。ま、突っ込まなくて正解だったのね。

 それをつっこまれてたら、さらに偶然が複雑に絡み合うことになったわけですね・・・。
 いやあ、この不思議な連鎖は、まだ続きそうだなあ。あ、ボルチモア出身のポオの詩「鴉」にちなんで、命名されたボルチモア・レイヴンズがNFLで開幕ダッシュを続けている!
 (こうやってこじつけて、信憑性を高めて行くのが腐れ占い師の手口である。気をつけましょう)

 ちなみに、以前教えていただいたエーコの「フーコーの振り子」(Pendolo di Foucault)が届いたので、ぼちぼち読もうかと・・・、あっ、この題名はポオの「陥穽と振子」(The Pit and the Pendulum)に通じるっ。 (無理やりこじつけるのよしなさいって!)

 しかも「陥穽と振子」も、なななんとスペイン異端審問、インクイジションの物語ではないか! これは「薔薇の名前」とDA3に通じ、あっ、ナポレオン軍のラサール将軍が登場するんだった、彼の武勇について先日どこで読んだっけなあ、トクヴィル関係あったかな・・・。
(あなたの読書傾向が偏っているだけという話だろう。似たような物ばかり読んでいるのだから関連するに決まってるわい)

 

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