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2012年11月 7日 (水)

西へ西へ

 アップする前に結果が出てしまったのですか・・・。

 なんだ世相ネタかよパス、とかちょちょ、ちょい待ち。ご心配なく、インクイジションのネタにつながると思う。無理にでもつなげる。

 あちら(US)のプレジデンシャル・エレクション。大接戦という噂ですが、デジタル勢力の大攻勢によって青息吐息のUSマスメディア、大接戦でないと耳目を集めず売上がたたないので、序盤戦からむりやりこじつけて接戦であるということにしているという説もあった。
 ところが、嘘から出たまことかどうかしらないが、専門家によると実際に接戦になっているそうだ。(すでに結果がでたので「いたそうだ」、しかもそんな接戦じゃなかった)
 州によっては投票に導入されたタッチパネルの不具合も露見して、あのアル・ゴアの悪夢、フロリダの悪夢の再来があるかもしれないと予言する専門家もいる(「いたが杞憂だった」)。

 「このくそ忙しいのに、また再投票とかやらすなよな!」(お前有権者じゃねえだろう)by爆笑問題

 
 観たい映画もなかなか観れずに終わっている。すでに話題にした「ポー」もそうだし、「リンカーン」もそうだ。
 しょうがないので映画評論だけで満足している。今週末観ることができるだろうか・・・。
 
 第16代大統領リンカーンがヴァンパイア・ハンターだったら?
 夏には映画館に入り浸ったので、この映画の予告編は散々観た。

 知る人ぞ知る、リンカーン大統領はエドガー・アラン・ポーの作品や詩をそらんじるほど熱狂的なファンであった。
 屈強な肉体の持ち主という設定なので、ヴァンパイア・ハンターという話もまあね。リンドン・ジョンソン、ジミー・カーター、ニクソン、ジョージ・ブッシュ(SrもJrも)とかではありえない(中にはあきらかにヴァンパイア側のキャラもいそうである)。

 
 これまで小出しにしてきたいろいろなネタ、「アメちゃんらしく単純明快という物言いには平和ボケ日本人と同じくらいれっきとした根拠がある」とか、「大統領選挙はキリスト教的世界観をよりよく実現できる者を選ぶ場」とか、「アメリカ人のフェアネスは、おれたちのルールからみてフェアかどうか」だとか、「ノンクリスチャニティ世界は結局のところファウル(foul)であると思っている」とか、全部同じことを言っているのですね。

 
 答は簡単です。もちろん世の知見の受け売りです。主として内田樹氏(内田氏もトクヴィルからの受け売りに基づいている)、そのほかいろいろな方の説を含む。

 
 アメリカ合衆国は、建国の瞬間に理想を達成した。
 

 この一言ですべてが説明できてしまう。一方、これを本当に理解することは非常に難しい。

 「理想を達成した」の説明はいいですよね? 中学生の歴史かな? ピルグリム・ファザーズのメイフラワー号が英国プリマスから出航して新大陸(現:マサチューセッツ州プリマス)に到着。乗員乗客百数十名は、本国でイギリス国教の迫害を受けていた分離派と呼ばれるピューリタン一派であった。
 国教反対を示す"dissent"がDA2のクエスト名に使われていたが、一般的には国家(体制)の認定した教会の教え(国教)に異議を唱えること。国教(state charch、state religion)は、もとはローマ帝国の国教を指しているため、キリスト教(Christianity)のことである。

 ピルグリム・ファザーズは新大陸最初の入植者ではないが、新大陸到着時に乗客たちが結んだ社会契約説に基づくメイフラワー誓約(Mayflower Compact)が合衆国憲法の原初的役割を果たしたという説もあり、のちにアメリカ建国のシンボル、信仰の自由の広告塔として利用された。
 現在でも「国教」を有する国家は多い。合衆国は建国後しばらくのちに初めて国教を持たない国家となり、現在もない。
 (ちなみに日本国にもない。かつては「国家神道」が政策的に作り出されたのだが、占領軍GHQによって「国教分離」を命じられた。大陸国では現在、政府の認めたキリスト教教会のみで礼拝が認められている建前、実際には非合法教会は人気だそうだ)

 
 つまり、合衆国は天命(Destiny)を実現した最初のそして唯一の国家である。生まれた時から百点満点でスタートしているので、以後、何も向上する必要はない。完全状態の維持こそが後世の者たちの役割になった。
 アメリカ人の言うフェアネスは、アメリカ人の信じるフェアネスである、という説の根拠はこれだ。彼らが拠り所とする規範にはもとから瑕疵ひとつない。それに照らし合わせて判断するのであるから迷うことなどあるはずがない。すべては神の思し召し、アーメン。アラーは偉大なり、と同じ発想。

 そして開拓時代に突入するきっかけとなった西進のドグマ、西漸運動が起きる。「明白なる天命」(Manifest Destiny)というスローガンのもと、合衆国の領地を可能な限り西に拡大するのが至上命題となった。
 入植者たちがライヴァルたちより一刻も早く縄張りを手に入れるため、西を目指してまるで大陸横断耐久レースのようにがむしゃらに突き進む様は、トム・クルーズと(そういえば結婚してたな)ニコール・キッドマン共演の映画「マーヴェリック」などでもおなじみだろう。領土こそ獲得しても労働者が十分にいなかったわけだから、これが奴隷制の拡大に寄与したという批判も大きい。メキシコとの戦争や、英国の新大陸への干渉に対する政治的口実に使われたという説もある。
 だが、この熱狂的な運動の根底には「建国の理想」、すなわち信仰の自由や民主主義を世界に広めるという無意識の衝動があった。

 西漸運動の過程でネイティヴ・アメリカン(昔でいうインディアンを政治的に正しく呼みかえた用語)を駆逐していった事実については、さすがのアメリカ人もなかなか口が重いのだが、一方でNFLシアトル・シーホークスといえば、これはネイティヴの酋長の名前(シアトル)と部族の別名(シーホーク)を用いているわけだし、以前ワールド・シリーズでMLのアトランタ・ブレーブスのファンがスタジアムで応援する際のトマホーク・チョップがネイティヴを侮辱していると問題になったことがあった(ブレーブスとはネイティヴの勇者を指し、トマホークはもちろん彼らの武器だ)。首都ワシントンのNFLチームはなんとレッドスキンズとそのまんまである。ジェロニモ、アパッチ、チェロキー、ブラックホーク、イロコイス、カイユース、ここらへんも全部ネイティブの部族由来。軍用ヘリコプター名に多いのは運用するのがもともとはネイティヴ戦士たちと戦った合衆国騎兵隊由来だからかな。

 このずぼらで能天気な感性はなかなか理解できませんが、これこそ「敗者にも栄誉を、その名を残すべき」というアメリカ人のフェアネスに基づくのでしょうか。それとも「これほど勇敢で強力な敵と戦った自分の兵士たちはすごいので、それを記憶をとどめよう」というほうが正しいかな。どちらにしろ駆逐されたほうにとってはたまったものではない。 

 
 日本にも関係するのですが、西漸運動は入植者がカリフォルニア、オレゴン、ワシントン州に到達して終わったわけではないのです。その先は見渡す限り太平洋。日本人みたいに、もう十分じゃない、ここらでええんちゃいますか、腹八分目とはならない。それが宗教的信念の恐ろしさである。
 ハワイもあれば、フィリピンもある、その先には日本だって、アジア大陸だってあるのですよね・・・。

 アメリカから見て大西洋を挟んだ東側は、まあ彼らから見たら古色蒼然としていて不完全とはいえ一応クリスチャニティが普及している国々である。入植者のオリジンも(勝手に連れてきた奴隷やアジア大陸から大挙して押し寄せてきた大陸人たちを除けば)大抵ヨーロッパだ。そっちは置いておく。
 西漸運動は以来まだずーっと続いている、というのも一つの見方ですよね。最近になってクリントン国務長官がアジア回帰と叫んでいるけど、アメリカの本性は昔から西を向いているのです。

 
 関連する興味深い話としてひとつ(故小室直樹先生からの受け売りに脚色)。
 先の大戦でナチスがヨーロッパを席巻していた頃。フランスの戦いで潰走した英国遠征軍の残余部隊はダンケルクから命からがら奇跡的に脱出し、英国陸軍の滅亡こそ防いだものの、ヒトラーの軍隊が英本土上陸を本当に実行したら阻止できない見通しであった(英国内の兵役に耐えうる人口は当時から非常に少なかったので、英連邦の植民地兵を駆り出さねばまともに戦えない状態であった。ゆえに英軍は以前からコモンウェルス(Commonwealth、連邦)と呼ぶ習わしです)。

 首相チャーチルは、ルーズベルト大統領に執拗に参戦を要求するが、自国民の反発を恐れた米政府は、レンドリース(武器貸与)以上の手段で協力することができなかった。「どうしてそんな遠い国々のためにわれわれのボーイズの血を流さなければならないのか」、というのが国民の一般的なムードであった。ヨーロッパをオリジンに持つ国民が多数を占めているにも関わらず、一般のアメリカ人にとってヨーロッパ大戦はどこか遠い国の、よその世界の戦争だったのです。
 ヒトラー配下のナチス海軍(主力Uボート)も、決して米国籍の船には手を出さない、米国に参戦の理由を与えないとの命令を発し、それは厳重に守られていた。

 そこに飛んで火にいるではないのですが。ハルノートによって勝手に対米開戦が不可避と思い込んだ大本営は、ヒトカップ湾を隠密裏に出航していた大日本帝国海軍連合艦隊の機動部隊に対し、米太平洋艦隊の金城湯池である真珠湾への攻撃を命じる。不意打ちの効果もあって、この奇襲(raid、レイド)は見事に成功し、太平洋艦隊を長期間半身不随状態に陥らせることとなる稀に見る大戦果をあげる。
 (エンタープライズ他の米空母が訓練中で湾内に不在であったなどの事実は、「日本に先に殴らせた」という陰謀説に加担するなら意味があるが、私は本筋には関係ないと思っている)。
 ところが、これこそが米国が対ナチス戦に参戦する口実となったのでした(日独は同盟国であった)。
 ヨーロッパの戦争は「遠い国の別世界の話」であったのに、当時の一般的アメリカ人にとって「おとぎの国ジパング」でしかなかった日本との戦いがはじまると、太平洋で命を懸けて戦うため全米の若者が志願兵募集所に殺到した。
 
 いろいろな説があるでしょう。

 ハワイはそもそも米国領である。映画「硫黄島からの手紙」に対するアメリカ人のコメントで印象深かったものは次。「もともと日本領でなかった離島はともかく、硫黄島は日本にとって聖地(the Sacred Land)の一部である。そこでの戦いは必然的に熾烈にならざるを得ない」
 満州、サイパン、硫黄島、あるいは沖縄の違いを当時の日本人がどう感じていたか私は知らないがここでは問題ではない。アメリカ人がどういう考え方をするかだけが問題。

 上と関連するが、真珠湾で実際にアメリカ人が空襲によって殺された。しかも正規の宣戦布告なしの卑怯な不意打ちである。ヨーロッパの戦いはあくまでよそ様の戦争。今度は自分たちの同胞が巻き込まれた戦争である。

 日本の実力と意図を実態以上に過剰に見ていた。スピルバーグの映画「1942」が題材にしたように、帝国海軍がカリフォルニア沖まで攻めてくる空想物語は当時もあったようだ。
 だが帝国海軍には、例えばサン・フランシスコの軍港を急襲して上陸する能力も、意図もなかった。

 米国資本の権益が太平洋方面に集中していたので、政治的に誘導した。眉唾ですが、陰謀説のひとつ。 

 あーあと、太平洋方面極東軍司令官のマッカーサー中将が国民的人気者であったと言う説があるが、これは後付け。ルーズベルト大統領も、嫌なクソ野郎だった彼を嫌っていたが、アジア方面に詳しい候補がほかにいなかったから選任されただけだ。

 
 いくつかはもっともらしい説であるが、ここに「アメリカはもとから西方を向いている」という説を入れると、どうにもしっくりくるのです。
 (一方で、日本はずっと大陸方面ばかり見ていたという説も根拠がありそうです)

 だいぶ長くなってきたし、話も拡散しているので、一旦ここまで。

  
 
 

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