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2012年11月10日 (土)

西へ西へ(3)

 「西へ西へ」で ひとつ(いや、ふたつ・・・、みっつか)書き忘れたことがありました。

 まず「インクィジション」に無理にでもこじつけると言っていながら、こじつけてないことに気が付いたことがひとつ。
 あとは直接DAシリーズに関係ないので、まあいいかと思っていたものもあるのですが、もしかしたら関係あるかもしれないので書いてみる。

 関係ないかなと思ったけど、おもしろそうなのは、「アメリカの西漸運動は今も続いているのではないか」との絡みで、中華思想(華夷秩序)との関係。
 大陸国の中華思想で皆が(日本人が特に)誤解しているのは「版図には境界がある」という考え方。 
 日本人は中途半端に詳しいのが問題。世界史(東洋史)の教科書なんかで、東夷はこっち(日本を含む)、北狄 、南蛮、西戎はここらへんという例の地図を一度は見ているので、なんかその範囲が決まっていると勘違いしている。

 
 境界は「ない」です。天子のいる中央(中原)があり、臣民(民草です)がおり、その周りは化外の地(王化が及んでいない土地、天子の支配の及ばない地域)で全部果てしなく周辺です。日本人のようにこっからここまでおれのものと線を引いて喜んでいるような島国の発想はない。(日本人の島国根性を示す好例は大東亜戦争(太平洋戦争)時の「祖国防衛生命線」というやつですね。自分から戦争仕掛けておいて最初からすでに守りに入っているわけです)

 よって中華思想の持ち主にとって領土に対する欲望は無限(というか地球全部、月とか火星は除く)です。そして大陸国は中華思想の持ち主が統治しています。
 島嶼問題にしても、日本人がここらへんをいつもどおりに間違っているので脱力するしかないのですが。
 (島嶼問題を抱える半島国の発想はまた全然違いますし、今やロシアが領土的にはカンペキに守りに入っているのも興味深いところです)

 アメリカの場合は(その生い立ちから当然のように)非植民地主義を標ぼうしているから、領土に対する欲望を直接的に表明することはないが、キリスト教的価値観(信仰)、民主主義(自由主義経済を含む)、法の統治(ローマ法準拠)という(ほとんど同じことを言っている)三点セットの価値観を全世界に広めることがすべての政治活動の根底にある。
 これも誰か(佐藤優氏かな)の受け売りですが、とても鋭い見方ではないでしょうか。

 不信心で(キリスト教徒は2%)、法の支配が及ばない人治主義(検挙されたら99%有罪)の日本がなぜアメリカの「同盟国」として許されているかというと、形式上は民主主義国家だから。20年で16人も指導者(内閣総理大臣)が変わるなんて、民主主義が立派に守られている証拠ですね。あ、もうすぐまたひとり変わるのかな。
 でも生まれた時から100点満点のアメリカ合衆国からみたらこの島国は(三点セットの面で)ひどい劣等生なので、政治・経済的には内政干渉されまくり、外交・軍事的にはレッドペーパーなる「指示書」、すなわち「お達し」が米政府からばんばん来まくりだそうです。

 大航海時代に先手を打つことができたスペインとポルトガルは、支配権争いのいざこざでお互い消耗することを避けるため勝手に地球をふたつに分割しました。これは親戚同士の遺産分割みたいなもんだから、二国で地球を山分けという発想でした。一緒ですね。
 遅れてやってきた英国やオランダはそんなローカル・ルールは「知らんがね」と無視したのですが。

 帝国主義は(資本主義の最終形態とみなしたレーニンの影響もあって)植民地主義を指すのが一般的ですが、直接的に他民族・国家の領土を獲得する拡張主義のほか、生活水準や文化的に「後進」している地域に対するコスモポリタン的人道主義を標ぼうした文明啓蒙主義も含むことがあるといいます。

 レーニンにとって皮肉なことにソビエト・ロシアは両方の意味で帝国主義と呼ばれるようになり、かつて大英帝国だった英国とアメリカ合衆国は後者にあたり、日本国(かつては大日本帝国)ですら敗戦後の今もって帝国主義であることは間違いない(後者の意味では経済大国としてそうである。また沖縄がある限り日本は前者の意味でも「帝国主義」であるというのは佐藤優氏の説)。
 EUにしても集団的帝国主義を模索している段階でしょう。そして大陸国は言うに及びません。
 こうしてみると、先の大戦の主要プレイヤーが全部登場して、チーム分けが違うだけで結局何にも変わってねえんじゃねえの、ということになるのですが、そう簡単に変わるわけないよね・・・。

 信奉する宗教・思想の普及や統治がまだ手つかずの「後進」地域が世界にあるなら、そこにも「手を差し伸べ」て「啓蒙」しなければならないというのは、宗教的・思想的使命・責務といってもいいでしょう。そうしないのは(宗教・思想の担い手にとって)不信心、怠慢、あるいは反逆的思想なのです。

 「後進」とか「啓蒙」という言葉が相手に対する蔑視・差別を意味するのは言うまでもないですよね。 

 DA世界でいえばテヴィンターがインペリウム、「帝権国家」、「帝国」と名乗っているわけですが、もちろんオーレイも正式名称はオリージャン・エンパイア(帝国)。初代ドレイケン帝(Kordillus Drakon I )は拡張主義・帝国主義を標ぼうしていたといい、フランク王国の国王、自ら西ローマ皇帝を名乗ったシャルルマーニュ(カール大帝)がモデルだそうです。

 ドレイケン帝の誕生によってオーレイの領土は皇帝が一括所有することとなり、爵位は(ドレイケン帝のものも含め)あわせて全廃されました。
 よって「マーク・オヴ・ジ・アサシン」に登場するデューク(侯爵)やバロン(男爵)は正式名ではなく慣例的に用いられる呼び名。「アウェイクニング」に登場するバロネス(女性男爵)もオーレイのフェラルデン統治時代からフェイドに巣食っているのでやはり正規の爵位を有している人物ではありません。 

 クナリも現実に拡張主義であり、広い意味ではクン(キュン)の教え(宗教というより哲学)を他国家、他民族(注)に広める帝国主義的な側面もありそうですが、さて、ほかのセダスの国家はどうか。
 (注)クナリは国家でもないし、人種や民族を示すのでもないから、「他国家、他民族に」というのは語弊があって、「クンの教えの行き届いていない者たち」というべきなのですが、あのツノの生えた種族コシス(Kossith)が数的支配力を持っているため便宜上支配種族とし、その支配システムが集中しているPar Vollenを彼らの国家としておきます。

 面白そうなのでDAWikiで、ヒューマンの国家別の統治形態などを調べてみる。

Antiva: Constitutional Monarchy(立憲君主制)、その実はPlutocracy(金権制)
Ferelden: Feudal Monarchy(封建制)
Nevarra: Monarchy(君主制)
Orlais: Absolute monarchy(絶対君主制)
Par Vollen: Triumvirate(三頭政治)
Rivain:  ?
Seheron ?
Tevinter Imperium: Oligarchy(寡頭制)
Anderfels: Constitutional Monarchy(立憲君主制)
Free Marches: Confederation of city-states(都市連合)

    "?"がついている国々は、ライターたちがちゃんと背景設定をしていない、ということもあるのですが、クナリやテヴィンターの植民地か、かつて植民地であった土地なんですね。

 
 フェラルデンは封建制(フューダリズム)である。各地方にはレッドクリフ卿などの有力なアール(Arls)のほか、バノーン(the Bannorn)と呼ばれる細かく分割された領土のひとつひとつに領主(バン、Banns)がいる。DAOランズミートの場面のように、諸侯(領主たち)の多数の賛同を得なければ国王(あの場面のローゲインは摂政ですか)も重要な政治的決定を行うことはできない。

 テヴィンター帝国やオーレイが拡張主義、帝国主義であるのに対し、DAに登場する国家群のなかで最重要なフェラルデンがそうではなく、「いいこちゃん」に見えるのは、「なんだかアングロサクソン的えこひいきなのではないか」と思っていました。

 実はフューダリズムは、絶対王政(皇帝制)や独裁制(寡頭制)のような中央集権制とは程遠く、防衛戦争では(自分自身の領地を守るモチヴェーションが高いので)頑強に戦うものの、版図拡大戦争に向いた形態ではないのですね。

 リアル地球のヨーロッパでは、軍事技術が急激に進化した時代に、中央集権制への移行が加速した。騎士の活躍する時代では領地と鍛冶屋程度を準備すれば戦えたのだが、高価な兵器、複雑な軍隊組織、それを支える大規模な後方組織を一貴族、地方領主が運用することはできなくなった(もちろん、宗教改革の進展によって、従来の教会の取り分まで中央政府が合理的に接収できるようになったことも背景にある)。

(それがまた、絶対王政のスペイン・ポルトガルが大航海時代のさきがけとなり、立地的には同様に恵まれていたはずの英国・仏国では封建制のしがらみが足かせとなって内政掌握に手間取ったのが出遅れた理由でもあったのですね。大航海へ乗り出すためには国家規模のスポンサーシップが必須であったということでしょうね)

 封建制と書くと日本人は幕藩体制や「武士道」のイメージから「滅私奉公」とか「忠義」とかの美徳を体現していると考えがちですが、封建はあくまで君臣間の双務契約であり、間抜けな君主や怠慢な君主に殉じる義務はないし、君主ひとりきりに仕える義理もなければ、直接契約関係にない「君の君、臣の臣」は縛られない。支配秩序を高めるシステムではなく、むしろ支配階級に混沌を招くシステムであったようです。 

 都市連合の「連合」(Confederation)とは、それぞれ独立した主権(統治権)を有している都市(国家)の便宜的な寄り集まりという意味であり、盟約に基づく主権の元に都市(国家)群が寄り集まって外部に対して国家として振舞う「連邦」(Federation)とは違う。

 カークウォールにはヴァイカウント、スタークヘイヴンにはプリンス、タンターヴェイルにはロード・チャンセラーというそれぞれ独立した統治者がおり、フリーマーチズに彼らの上位にたつ統治者はいない。軍事的な結集を実施したことも極めてまれである。

 なお、建国初期のアメリカ合衆国が「連合」の形態で、現在の形が「連邦制」ですね。

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コメント

何時もながら面白い記事をありがとうございます(^.^) 
フェラルデンが王様王様と言いつつ、実は結構王様の立場が弱いというのはランズミートでも出て来ますが、最後に決闘に持って行けるあたりが中世の名残(古代か?)でしょうか。

あとあの国は実のところ体力ずたぼろで、親オーレイ派の方が多く生き残っていて、ついでに主な貴族はほとんど跡継ぎが居ない(ウォーデンだったり、メイジだったり…)というあたり100年戦争後のイギリスのイメージですね。そうすると次に来るのが近世的な中央主権国家ということになりますが、アリスターだいじょぶか?!(笑) 
そういえばアンドラステは文脈上はキリストなんですが、物語内の描かれ方はジャンヌ・ダルクだなあ、とか。

 封建制について勉強しなおすと、基本的に褒めているのは日本人ばかりなり(梅棹先生のオートジェニック説)。モンゴルの侵攻を食い止めたのは東の鎌倉武士(元寇)と西ではドイツ騎士団(リーグニック、レグニツァの戦い)。これも騒いでいるのは日本人ばかりなり。(つうか封建制は日本と西ヨーロッパにしか発現しなかったからね。さらに西欧学者は日本のやつはぱちもんとして決して認めないけどね)
 最近じゃロシア人がモンゴルの侵攻を食い止めたという歴史的記憶の捏造をやっているそうですよ。プーチン応援歌のロシアン・ロックにそういうのがあるそうだ。史上はボロボロに負けたのにね。まあ大陸国こそロシアの仇敵と思っていただけてるなら、日露関係も非常にスムーズにいくのでありがたいけど。

 そうそう、フェラルデンのモデルは百年戦争イギリスですね。

 ジャンヌ・ダルク(ジャンノヴァーク)が神がかり状態であったというなら、アンドラステとのアナロジーはありますね でもアンドラステがキリストってのは磔刑・火炙りの類似性のせいでクリスチャンも勘違いするけど根本的に違います。アンドラステはむしろモーゼかイスラムの預言者ムハマンド。ジーザスは間違いなく神(にして人の子)ですから完璧別格です。
 そのていでいくと、ジーザスこそ神の子であるとのたまった預言者(洗礼者)ヨハネ役が登場し、後に現れるゴッドベイビーがジーザスであると宣言する説の信憑性が高い。となると降臨を啓示する三人の天使が登場するというノリがわかりやすいが、BioWareだからそこはひねりそう。天使役は意外にもフレメスかもしれないですね。
 それと、私はウルティマかぶれかもしれないけど、どうしてもフォルス・プロフェット(偽りの預言者)の登場を待ち望んでいるのですけどね。ジ・アーキテクトはそんな役回り(あるいはアンチ・キリスト)だったのかもしれないけど、その目はつぶしちゃったな。
 
  

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