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Project Eternity

2013年1月 1日 (火)

【転居のおしらせ】2012年版は終了いたしました。

 ご愛読いただきました本ブログは、容量オーバーのため2012年末をもって記事投稿は終了いたします。

 今後は以下のリンク先にて、引き続きDragon Age、Mass Effectを中心に、洋ゲーの雨乞いの踊りを踊り続けることにいたしますので、よろしくお願いいたします。

Rain Dancing Vanity 2013

(下のURLは上のリンクと同一です)

http://vanitie4.cocolog-nifty.com/rain_dancing_vanity_13/

 こちらのブログ記事への質問やご意見がございましたら、上記リンクへコメントいただけると幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。 

2012年10月18日 (木)

Project Eternity クリス・アヴェロン インタヴュー

 Obsidianのクリス・アヴェロン(注)とオーディオ担当のインタヴュー@RPGfan。
 やたらと( )が多用されているので、おそらく対面式ではなく、メールかなにかデジタル媒体でのやり取り。

 
(注) Chris Avellone

 Fallout 2の開発にも参加しているが、最も著名な作品はリード・デザイナーを勤めたPlanescape: Torment(1999年リリース)。
  Icewind Daleシリーズなどに参加し、Star Wars: Knights of the Old Republic II(2004年リリース)でリード・デザイナー。Neverwinter Nights 2(2006年リリース)などを経て、ObsidianでFallout: New Vegas(2010年リリース)に参加。

http://www.rpgfan.com/features/Project_Eternity_Interview/index.html

Q: Project EternityなどのRPGがKickstarterで成功を収めたことは、大手パブリッシャーの注目を集めるだろうか?

 
A(特に断らなければクリス): Kickstarterの出資額程度では従来型のパブリッシャーの注目を引くのは無理だろう。だがリリースした作品が百万本売れたとなると、話は違ってくるだろう。 

Q: Arcanumが今も自分のお気に入りゲームのひとつだが、プレイヤーの選択の幅が広いことがその理由だ。プレイヤーがなにか「特別」な存在となるような独創的な仕掛けは用意している?

A: キャラクター・クリエーションでプレイヤーに制約をはめるようなことはせず、お望みのキャラクターを創れるようにしたいと思っている。Icewind Daleのヒーローたち(のヴァラエティ)と、Planescape:Tormentの主人公(の際立った特徴)との違いでいえば、プレイヤーの選択をより自由な形で幅広く与える方向を志向している。プレイヤーは文化的な、あるいは出自・生い立ち(バックグラウンド)によるトレイツ(資質)を選ぶこともできるが、それすらも強制するようなことはしない。

Q: (RPGの)伝統的な世界に回帰しようとしているのは理解しているが、Project Eternityが「試金石」となりそうな、なんらかの新しい仕掛けは考えているか?

A: 過度のネタバレを避けて言うとしたら、ソウル(Soul)の転移によるスペル(呪文)メカニズムの中核的な部分と、この世界観の中でそれが(個人的に、社会的に、神学的に)どう受け止められているのか、そういった部分がプレイヤーに末永く印象を与えることになると思う。

 しかしそれと同時に、われわれの主要なゴール(目的・目標)のひとつはBaldur's Gate、Icewind Dale、そしてTormentのプレイ経験の楽しさを、それぞれのタイトルの長所を用いることによって再現することにある。プレイヤーを没頭させて離さないRPGを創るのと同時に、そうした過去の名作を覚えているプレイヤーたちがそれらの作品を久しぶりにプレイしたくなるように促すことも狙っている。今日のマーケットでこの種のゲームを見かけることは極めて稀であるか、あるいはまったくないので、われわれはたとえ巨額の予算がつかなくても、そうしたRPGがまだまだ成立するし、成功さえすることを示したい。

Q: 古典的RPG作品で、後世にきちんと伝わらなかった部分はあるか? このゲームではそうした問題にどのように取り組むつもりか?

 
A: 真にパーティー・ベーストのロールプレイング・ゲームを見かけることは難しくなってきているが、その理由には、コンソール機システムのインターフェイス(コントローラー)の制約がある(そして、ほとんどのRPGは投資効率を高めるためにコンソール版と同時にリリースされる)。

 PCというプラットフォーム(Mac、Linuxを含む)に特化し、そのマーケットにプレイヤーを絞り込むことで、伝統的なInfinityエンジンのゲームスタイル、すなわちパーティー体験に必要となるインターフェイスのサポートが十分に可能となるのだ。ゲーム世界の探索、パズルやチャレンジの解決、交戦時に特別なフォーメーションを用いるような戦術的なアプローチ、一瞬ごと、一手ごとの細かな操作など、パーティにいるそれぞれのキャラクターを全部操作(コントロール)したいと考える人がいるとしたら、このゲームでは可能になる。

Q: Project EternityはWasteland2の援助を受けたが、ゲーム開発で何か協力したり、エンジンなどを共有するつもりか?

A: ブライアン・ファーゴ(Brian Fargo)とinXile は、すでにロジスティックスについてのアドヴァイスや(Kickstarterプロジェクトに関する)事後検証で協力してくれているし、さらにはWasteland2の製品自体をタイアップ・プロモーションのために提供してくれた。ブライアンはかつてInterplay時代にわれわれのほとんど全員を雇っていたのだが、今でも親交が続いていること、さらにわれわれを応援してくれていることにはとても勇気づけられるし、お互いのRPGに対する愛が同じくらい大きいことも表しているのだと思う。

Q: 音楽面での目標は何か? 作曲者は? サウンドトラックを手に入れるのは製品を購入した全員か、それともKickstarterに投資した者だけか?

A:(ここの回答はジャスティン・ベル(Justin Bell), オーディオの帝王(Audio Overlord))
 なによりも、このゲームの豊饒な物語と世界観を支えるために 音楽をエンハンスしていきたい。
 そのために、耳に残るような興味深いアンサンブルによって演奏される力強いテーマを用いるつもりだ。最終的には演奏するスコアのあらゆる部分を、Infinityエンジンゲームのサウンドトラックと同じように、長く記憶に留めてもらえるものにしたい。作曲者はまだ公表していないが、近い将来きっと明らかにする。最後の質問については、Kickstarterの募集期間が終了してからサウンドトラックをリリースしたいと思っていて、その方法についてはいろいろな選択肢を考えている。

Q: Obsidianに対する評価として、少しアンフェアかもしれないが、風呂敷はでかいけど、ゲームは最後までなかなか完成品と呼べない、というものがある。それはなぜか、Kickstarterというモデルがそういう問題に変化を与えるのか。

A: Eternityでは、RPGについてわれわれが好きな部分、特にInfinityエンジンスタイルのゲームにフォーカスしている。われわれがこれまで何度も繰り返し手掛けてきた分野でもあるし、それだけではなく、最新式のグラフィックカードやら、物理エンジン、大々的な声優陣などといったたくさんの装飾物を必要としないメカニズムにフォーカスしている。われわれはまずRPGありき(the RPG first)という考えにフォーカスしていて、そうしたゲーム体験を提供するためには直接関係のないリソースを多く用いる必要はないと感じているのだ。

Q: アイテム生成システムはどんな感じ? Diabloスタイルの「形容詞付加方式」ランダム生成システムか、それともユニークな武器を一から制作できるのか?

A: ここまでのデザインの取り組みは、ランダマイズではなく、手作り(ハンド・クラフティング)にフォーカスしている。例えば、Infinityエンジンゲームでも特別なアイテムを創造するのがとても楽しかった(個人的にはIcewind DaleやTormentでそれぞれの魔法アイテムに背景となる物語、ロア(伝承)を書き、基本能力に特殊なパワーを付け加えるのも楽しみの一部であった)。追加されるアイテム類の詳細は将来のアップデートで明らかにするつもりだ。

Q: ゲームエンジンは、古典的2Dスプライト、それとも3Dモデル? それを選択した理由は? もし2Dであるなら、古典的RPGに用いられていた640×480解像度と比べて、極めて高解像度のモニターを用いているかもしれないユーザーのためにスプライトパックを追加で作るのはどのくらい難しい? 

A: すでにリリースしたスクリーンショットでわかると思うが、われわれは絵画のように描写的な手作りの3D背景を用いることができるようにしたい。これはRPGゲームであるから、Icewind Daleのようなゲームのように、とても幻想的な(ファンタスティックな)眺望を持ち込みたいと思っているし、描写的3D背景を用いればそれが実現できると感じているからだ。Icewind Daleのダンジョンの多くは、美的な趣を生み出すためモデリングと絵画的タッチの両方を用いていた。モデルごと、シーンごとのポリゴンの数の多さを心配しつつ作ったら必ずしも常には実現できないかもしれない類のセンス・オヴ・ワンダーをこのゲームで再現したいと思っている。

Q: DLCがゲームリリース前にアナウンスされて、一部ゲーマーが憤りを表明することがある。Project Eternityはすでにエキスパンション・パックのリリースを発表したが、特にそういう批判は出ていない。なぜだと思う?

A: わからん。ただ、われわれ自身、より迅速に楽しい冒険コンテンツを創ることができるからDLCづくりに取り組むことはとても楽しいし、そういった情熱はコミュニティー全体に理解されているのだと思う。現在のマーケットでDLCの話題が出たときは「収益を生み出すため」と受け止められるのがふつうになってきたのかもしれないが、そうではなくて「興味深い新コンテンツを創り出す」という意味あいのものだ。

 New VegasのDLCづくりはとても楽しかったし、それと同様のことがEternityでもできるのは素敵だ。(さらに、エキスパンション・パックはわれわれがこよなく懐かしがっている取組みなのだが、残念なことにどれだけプレイヤーが望んでいても、昨今のパブリッシャーがなかなかOKしないのだ)

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 BioWareのデヴィッド・ゲイダーさんにしろ、上のクリス・アヴェロン氏にしろ、シナリオ・ライター出身の人の文章はなかなか込み入っていて一苦労です。特にビッグワード(小難しい単語)を用いているわけでは一切ないのですが。

 Steamのニューウェル氏の場合は、ほとんどの引用が会話からなので「頭の回転に口がついていっていない」、途中で話題がガラガラ変わり、最後には、「な、わかるだろ?」的なまとめ方になることといい、「言葉でわからない、伝わらないもどかしさ」の表現に苦労するのですが。

 中身について言えば、いくつか感想がありますね。

・果たして百万本売れるかどうかは神のみぞ知る(Kickstarterの出資者は7万人)。プラットフォームがPC/Mac/Linux限定ですからThe Witcher シリーズの50万本までもいかないかな?

・インタヴュアーも何度か聞き直してますが、「新奇なところは特にない」。これはInfinityエンジンゲームのリダックス(Redux)、ルネッサンス(Renaissance)であるのでしょう。伝統再帰、古典復興。

・ハクスラゲーのルートは、Diablo方式がデファクト・スタンダードで、MMOにもかなり広まってますね。私は実は苦手なのだ。Baldur's Gate、Icewind Dale、Neverwinter Nights方式は好き。Dragon Age方式では無数に無駄なものを拾うのだが、ユニーク以外で役に立つものは結局ほとんどないと感じる難点があります。DLCなしのバニラで遊んだことがないからそう感じるのかもしれない。
 クリスも述べているように、私もプレイヤーとしてユニークアイテムの説明書き、もっともらしいうんちく、長い能書きが大好きです。その部分はDragon Ageのユニーク・アイテムでも踏襲していた。

・DLC、エキスパンション・パックについては、もろにMass Effect 3などのデイワンDLC、Dragon Age 2のエキスパンション・パックの話題を指しているのでしょう。
 デイワンDLCのほうは、本体リリースにすでに組み込まれている(完成して実装している)コンテンツのアンロックに別料金がかかるという仕組みが批判されていて、それはMass Effect 3に限らず広く行われている手法。 

 また先日は、DA2のエキスパンション・パックが制作中止になった。本編の半額(20から30USD)で売るくらいなら、むしろそっくりそのままDA3というフルタイトルにしちゃってフルプライス60USDで売れ、そのほうが儲かるからというEAの指図があったのだろうか。
(エキスパンション・パックは本体と同程度の価格をつけられない、また新作フルタイトルほど本数が売れないのもふつうである。開発期間が倍(たとえばエキスパンションの1年からフルタイトル2年)になっても、両者の売上本数見込みの差がある線を上回っていればペイする寸法)

 クリスたちが懐かしがっているようなエキスパンション・パックの成功例を探すと。Infinityエンジンでは、BG2のエキスパンション"Throne of Bhaal”(BioWare)はともかく、ほかはなんか結構しょぼかった気がするんですけど・・・。

 私から見て成功例といえば(Infinityエンジンではなく、Auroraエンジンになるが)やはりNeverwinter Nights(BioWare)のふたつのエキスパンション・パック。あのふたつは分量の面も追加されたコンテンツの面からも、まあ文句なしでしょう。

 Obsidianが関与したもので探すと、辛うじてNeverwinter Nights 2のエキスパンション・パック、"Mask of the Betrayer”が合格ラインかな(けったいで余計なアイデアまで盛り込んだという批判は多いが)。
 ただその後続作品である、お茶濁しとしか呼べない"Storm of Zehir"でエキスパンション・パック方式に汚点をつけたのもObsidianであったのだが。

 実はクリスが言っている、ソウルを使った印象に残るスペルシステム。"Mask of the Betrayer"で用いた、スピリット・イーターと同じような仕組みではないのか、と疑ってるのですけどね。それが上で言う「けったいで余計なアイデア」ではあったのですが。

  
 
 
 

 

2012年10月17日 (水)

Project Eternity これがオールドスクール派の威力なのかあっ?!

 表題の引用の元がなんだったか、忘れちゃった。元は「これが」じゃなくて「あれが」かな。

 Project Eternity、わけわからんことになっていますねー。日本時間で今朝締め切ったのかな。 

 73,986人。3,986,929USD、ひとりあたり単純平均54USDまでになった。人数の伸びのラストスパートもすごいけど、すでに投資していた人も最後の瞬間までに投資を増額したのかな。

 既報の3.5百万USDのストレッチ・ゴールもクリア。

 バルダーズ・ゲート(BG)やアストラカン(BG2)並みに巨大な街が、当初予定の基本ゲームで実装される街とは別に現れる。うむむむ。BGのバルダーズ・ゲートは実際歩いていたら道に迷いましたからね・・・。オリジナルのように、ご丁寧にほとんどの家・建物に入れるようなつくりだと、探索にどんだけ時間がかかるのかと。

 そろそろストレッチ・ゴールのネタも切れ、「Project Eternityの主題歌をレディ・ガガが歌う」とか来るかと思っていたら(ありえんだろう、カイリー・ミノーグもない。シンディ・ローパならあるかも?)、4.0百万USDのストレッチ・ゴールは「ゲーム全体をエンハンス」(笑)。

 なんじゃそれ。ネタ切れ宣言?

 読んでみると。

「サウンドトラックに(デジタル音源ではなく)ライヴ音源を使う、ゲーム内に開発者コメンタリーをつける、そのほか3.5百万を超える資金は全部ゲーム全体をエンハンスすることに注ぎ込む」

 最後に「クリス・アヴェロン氏がArcanumをイヤイヤでも無理にプレイさせられる」(笑)。

 ティム・ケイン氏がリードとして作ったArcanumを、クリス・アヴェロン氏(Planescape Tormentなどのリード)が嫌がるの、とてもわかる気がする。
 あのゲーム、私も途中で投げ出したもん。なんだかプレイしにくさが半端なくきっついのよ。

 4.0百万USD一歩手前で未達成となったので、クリスも難を逃れたわけか。

(あ、GameSpotによると、PayPal経由分が入ってないそうなので、4.0百万は超えてるのか!)

 そして探索用独立ダンジョン、エンドレス・パス(Endless Pathes)は、なんと13階層までになっている。

 さあ、あとはObsidianが約束の期日(2014年4月)までに、ゲームを完成させることができるかどうか、に掛かっている。

 元もと、納期破りと初期バグ多発で悪名高いところだから。

 がんばってほしいけどね。

2012年10月14日 (日)

Project Eternity 世界設定・・・。

 

 ついに締め切りまで3日をきって、カウントダウンは残り60時間。61,000人、3.0百万USD達成。ここにきて投資家の単価が今までの45USDあたりから、50USDまで上がってきたね。ラストスパートってやつでしょうか。

 ストレッチ・ゴールでは「ストロングホールド」が手に入りました。ま、機能はプレイヤーズ・ハウスとかぶりまくってますが、そのまま訳すると「要塞」ですね。InfinityエンジンゲームやObsidianが手がけたゲームでは必ずしも要塞を意味するのではなく、常駐する場所を指すことが多かった。

・Baldur's Gate 2、クラスによってさまざまなストロングホールドが手に入ります。ファイタークラスがある条件を満たすと貰えるほんものの要塞から、パラディンには信仰する神を奉る寺院の居室、レンジャーは森の中の心地よい小さなキャビン、ウィザードは塔とか色々。

・Neverwinter Nights 2、主人公はそのものずばりのストロングホールド(要塞)を手に入れます。所領も民も同時に手に入れるので、その部分は領主経営シミュレーション・ゲームのような趣きになる。本物の経営ゲームに比べれば出来はぜんぜんいまいちですが、これをきちんと育てないと、パラディン専用の破邪の剣、Holy Avengerが手に入るクエストが発動せんのじゃ(もうええちゅうに)。

・Fallout: New Vegas、本編ではカジノのスイートでしたが、ObsidianはむしろDLCの"Old World Blues"のSinkのほうをイメージしているようです。あらゆるものが保管でき、クラフティングやエンチャントメントなど、ゲーム内でできるあらゆることが一箇所で賄える。

 次のストレッチ・ゴールは3.5百万USD。こちらは、バルダーズ・ゲート(BG)やアストラカン(BG2)並みに巨大な街。しかも基本ゲームですでに実装される計画の街とは別に。

 0.5百万USDを30時間で。きつそうだが、どうなるんでしょうね。あたしはすでに97USDを出資しているので、もうこれ以上投資する気はないのですが。

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 ObsidianのCEO、ファーガス・アーカート(Feargus Urquhart) のインタヴュー。わりと小さめのサイトのそこここで行われている。

 今回のねたに用いたのは例えばテキスト版のこれ。

http://www.overclockers.com/kickstarter-and-game-development-highlighting-games-coming-to-linux-part-1

 オーディオでいいというなら、例えばこれ。

http://www.puresophistry.com/2012/09/21/project-eternity-radio-interview-with-feargus-urquhart-ceo-of-obsidian-entertainment/

 昔からとってもまじめな人だなあ、と思っていたが、さらにその思いを強くした。クソまじめな人ですね。だからあまり笑いはとらないけど、前向きでイージーゴーイング。 

 ほとんど唯一のジョークらしきものは、「ハードコアなファンの言うことを全部聴けるわけないじゃん。もしやっちゃったら、ジャパニーズ風な、ターンベーストの、昆虫人とのデートゲームみたいになっちゃう!」というところ。それですらクリスなどObsidianのほかの強烈なメンツのアイデアだと思うけどね。

 中身は特に変わったことは言っていません。

 なぜ、Infinityエンジンのゲームライクなゲームを作ろうとしたのか?

 「今はもう誰も作ってないのはなぜ?」と良く聴かれたが、(今は通用しないという)理由を答えることができなかったから。もしかして自分たちと同じ考えの人が多くいるのかもしれないと思って、Kickstarterを使ってみることにした」 

 ぶっちゃけ、インタヴューで語られている核心部分はそれだけです。逆に素晴らしい。 

 あの、リドリー・スコットが自分が撮った30年前の映画「エイリアン」のオマージュ(自分の作品を本来そうは言わないが)みたいな扱いで映画「プロメテウス」を撮ったことと共通してますねえ。今でも通用する、もっとうまくできる、遣り残したことがある。 

 オールドスクール派がこのゲームに含まれると考えていることは、きっとはずさない。Baldur's Gateや、Icewind Dale、Fallout: New Vegasから想像できることは、おそらくゲーム内で実現する方向で考えている。 

 つまり、エンジンこそUnityと異なるが、これは10年前のInfinityエンジン時代のゲームの拡大版リメイク、あるいは壮大なエキスパンション・パック・プロジェクトなのでしょう。

 ゆえに世界設定も「はずさない」のだが、逆に面白みがあるかっちゅーとない。

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エイディア

 広大なエイディア帝国とその元植民地であったディアウッド、リアドセラスの人々を指す。
 エイディアの文字通りの意味は「数多くのシカ」であるが、実際には600年前に王国を設立した部族、2500年前から続く「シカの民」を指す。2399年にエルフ王国であるクルクリンと併合。エイディアの中においては、ヒューマンとエルフの間に文化的に顕著な差異は認められない。互いに密接な関係を維持し、エルフのほうが寿命が長いなどといった生理的差異を乗り越えた融合の結果、文化的または法的な制度上、他に例を見ないたくさんの概念を生み出している。たとえばヘイムネグ(haemneg)、儀式的婚礼。

 エイディアの人種はヒューマンとエルフが大多数を占め、薄い色の肌、様々な髪色、青と緑が一般的ではあるがやはり様々な眼の色を有している。他文化と比較すると、エイディアの服飾は比較的簡素なつくりであり、アクセントのために大きく彩り鮮やかなストライプや、チェック地を用いることがしばしばある。

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 DnDワールド・セッティングのくそつまらなさに通じます。もうちょっとサンプリングで訳すかと思いましたが、一瞬でやる気がうせますな。

 もちろん「なんちゃらの歩き方」などのガイドがくそつまらないのは当然で、それが面白かったら、そもそも旅行に行く必要がない。

 Dragon Ageのワールド・セッティングは、ここまでくそつまらなくない気がしますが、それはDnDのワールド・セッティングを踏まえつつも、それを一回半くらいひねっているからでしょうか。それとも「なんちゃらの歩き方」のような(百科事典風)カタログ本ではなく、ブラザー・ジェニティヴィなどが実際にセダス大陸を歩いて見聞した内容に基づく紀行文だからでしょうか。

2012年10月12日 (金)

Project Eternity カリフォルニア・ウィザード

 ひょんなことで能(のう)関係の本を読んでいたら、昨日のチャンターの技能って、なにか能の世界に通じるものがあることに気がついた。

 能も、チャンターの詠唱でも、踊りを舞うのは死者(ソウル、精霊)なんですね。

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 予想は見事に外れている。

http://www.kickstarter.com/projects/obsidian/project-eternity

 Kickstarterの駆け込み投資のインパクトを完全に読み違えていた。
 ラスト一週間で毎日2000人くらい投資家が増加しているようだ。だいたい0.1百万USD相当。

 58,000人、2.75百万USD。あと4日。

 2.7百万USDのストレッチ・ゴールも、すでに達成した。
 これにより、キャラクター・クラスにパラディンとチャンターが加わる。
 私の没入度もどんどん深くなっていく・・・。もはやアイロニカルな没入ではなく、意識も行動もともに没入(笑)。

 一旦クラスを整理しておく。

 
 ファイター
 ローグ
 ウィザード
 プリースト
 

 ここまでが当初から実装される予定だった4つのコアクラス。
 
 ここからは、ストレッチゴール達成で開いたもの。

 レンジャー
 モンク
 ドルイド
 
 バーバリアン
 サイファー
 
 パラディン
 チャンター

 11クラス。往年のDnDのベース・クラス(版によって変動しますが)、おそらく現代CRPGが手本としたADnD2版かDnD3版の最初あたりのリストでいうと、欠けているのはソーサラー。これはまあ、特に大きな問題じゃないと思う。Project Eternityでいうウィザード・クラスの設定の発想はDnDウィザードに近いが、設計メカニズムはDnDソーサラーに近いはず。
 (チャンターはおおむねバードに対応するとみなす。サイファーに相当するサイフォニックは最後までベース・クラスにならなかったかな)

 コアクラスのうち、ウィザードについてのObsidianの説明を文末に。さーびす、さーびす!
 
 みなさん詳しいだろうから、簡単にまとめるとDnDソーサラーの職能はDnDウィザードとほぼ同じ。扱うスペルセットも共通。
 ウィザード、ソーサラーともに休息(睡眠と思ってもいい、DnDエルフは一切寝る必要がないけど)を取るまでの間撃てるスペルの上限数がスペルレベル(キャラクターレベルとは別に7まである)ごとに決まっている(上限数はソーサラーが若干多い)。

 ウィザードの場合、休息時に予め種類と回数を指定して覚えなおさなければならないバレット(弾丸装填)方式、ヴァンシアン方式(発案者SF作家のジャック・ヴァンスに由来)であるのに対し、ソーサラーはただ休息すればよい。それぞれのソーサラーは予め選んだ固有の呪文セット(ウィザードのリストと共通)の中から上限数まで打ち続けることができる。つまり、どの呪文を使うか撃つ直前まで判断を留保できる。
 逆にウィザードのほうは使うスペルを毎日入れ替え可能だから、最終的には事実上スペルリストの全部の呪文を使えることになる。ソーサラーは一旦選ばなかったスペルを選びなおすことは難しい。

 ウィザ-ドが長期にわたる学習によって膨大な知識を脳みそいっぱいに詰め込んだ「知識」、「知性」の体現者であるのに対し、ソーサラーは超越的存在などの「恩恵」、「祝福」、あるいは「遺伝」(ドラゴンの血脈など)によって呪文能力を生まれつき身に着けたという解釈。アトリビュートでいえば前者がインテリジェンス、後者がカリスマに能力を負っている。ステロタイプは前者が「老学者」、後者が「魔性(ましょう)の美女」。
 
 CRPGでいうと、ウィザードに似ているのがWizardy、FFIIIあたりの回数消費方式。ソーサラーに似ているのがMP・マナタンク消費方式。紙と鉛筆、PnP(TRPG)時代に分かれたが、コンピューターが代わりに計算してくれるようになってどんどん後者が主流となった。

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ウィザード

 多くの社会において尊敬を集めているウィザードは、たとえ抜群の知性を有する天才ではないとしても、高等教育と極めて高度な精神的鍛練を受けた男女である。しばしばモータル・ソウルの導き手(ナヴィゲーター)と呼ばれるように、「普通」の人々が自分自身の内部に宿る力を引き出すための手順を解明し、正確に実行することができる。その知識を用いて真に圧巻と呼べるような結果を出すためには、ウィザードは古代の手法をただ学ぶのみならず、常に研究を続け新しい手法を探究しなければならない。ウィザードのスペルは、オカルトや密教的知識とはまったく異なるが、あまりに複雑なうえに肉体的な消耗を要するため、高価で特別なエンチャントを施したトウム(魔法書)を手にしなければ、訓練を受けたウィザードですら発動することができない。

 トウムには何が書かれているのか? 現実を歪曲するために自分のソウルを用いる方法の手引きである。現実を歪曲するとは、たとえば、敵の間を瞬時に跳び回る、肌を石のように強固にする、最強の魔法ですら打ち返す、火の玉、稲妻、酸の塊を作り出す、なにもない空間に悪夢を呼び起こす、などを指す。実のところ、ウィザードの前に広がる可能性はプリーストが信仰によって獲得する力をさえ上回るものである。

 ウィザードであれば誰でも何冊かのトウムを用意することは可能であるが、経験不足のキャスターが、皴だらけの顔をした大魔術師(Archmagi、アークメジャイ)が用いるような、書き込みだらけの、かなとこのように重たい、ページの端がぼろぼろに崩れたトウムを用いてスペルを発することはできない。初心者ウィザードがトウムからスペルを呼び出すことにしくじった場合、肉体的にも能力的にもあまり多くを必要としない、ずっと控えめなスペルをいくつも繰り出すことを迫られるのだ。

 
 ウィザードは、オカルト知識の習得者であるとみなされることがしばしばある。スペルの知識に関してはそれも当てはまるが、多くのウィザードは興味の対象範囲が極めて狭いので、世の中の文化や歴史のことは全く意に介さないのがふつうだ。機械仕掛けを見つけたら、まるでローグのように大喜びで好奇心を示すこともよくあることだ。ウィザードは強力であるがゆえに、戦闘では攻撃の対象にされやすい。そのため、驚くほど多くのウィザードが、とりわけ力強いわけではないとしても、自分の肉体をよく鍛え上げている。

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〝Because their powers make them targets in battle, a surprising number of wizards are quite fit, even if they aren't particularly strong.〝

 最後の一文が笑っちゃいますね。
 「鍛え上げている」は"fit"、フィット。フィットネスのフィット。

 Obsidianはカリフォルニア・アーヴァインの会社。 
 体力づくりや健康にも気を配る。カリフォルニア・ウィザードだね(笑)。

 DnDウィザードはじめ、今までのRPGの魔法使いは、「体力づくり? 時間の無駄」とうそぶいて、埃まみれの書斎や書庫から一歩も出ず、風呂に入らず、睡眠もまともにとらず、ファミリア(遣い魔)の用意した食事も気が向いたときにしか口にせず、煙草も酒もヤクでさえも平気でやり、どーしても学会(学会って)に出なければならないときですら決して歩かず、空中浮遊していったり、タクシー代わりに乗り物を召喚する、不健康度満点のウィザードがステロタイプであった。それでいていざとなれば杖とか、召喚した魔法の剣くらいは振るうことができる。(まるでシャーロック・ホームズの人物像みたいだ)
 つうか健康くらい魔法で維持できないものかしら?(スペルを使うと生命力が減っていくみたいな縛りがよく課せられますね)

2012年10月11日 (木)

Project Eternity チャンター

 Project Eternity@Kickstarter、2.6百万USD達成したそうだ(56,000人)。
 Kickstarterのカウントでは未達だが、Pay Pal分が反映されていないみたい。残り5日。

 パラディンは2.7百万USDのストレッチ・ゴールである。若干厳しいかもしれないと思っていたが、駆け込みが結構あるようで射程距離には十分入っているようだ。ひとりあたり出資額はずっと45USDあたりなので、それで逆算すると、あと二千人ちょっと。
 私もそろそろ投資することにする。パラディン、ゴー・フォー・イット!

 アップデートの次の記述は、非常に正直に開発現場の姿を表現していると思う。つまりシステム開発はぶっちゃければ「人」である。コストは人件費である。以前簡単に計算したように、当初目標であった1.1百万USD(実質1百万USD)では(ObsidianのコアメンバーはKickstarterの資金からは報酬を受け取らない、当面無収入としても)20人くらいしか雇えなかったはずの開発チームは、今や倍以上まで拡大することができる。リード・プログラマーとしてティム・ケイン氏が一人で全部書いてしまうのではないか、と心配していたのも杞憂に終わりそうだ。(人数が増えたから品質が向上するわけではなく、むしろ逆作用が働く。そこが悩ましいところだが)

「それぞれのストレッチ・ゴールが達成されるたびに、われわれは新フィーチャーを追加するだけではなく、ゲームそのものの規模を増大させていく。追加的に集められた資金は、デザイナー、アーチスト、アニメーター、プログラマーをさらに雇うための原資となる。それにより、(プレイヤーの選択に対して)リアクティヴなクエスト、選択によって帰結が変わる機会、登場するモブ、記憶に残るキャラクター、冒険エリア、戦闘能力などが増えていく」

"With each stretch goal hit not only are we adding a new feature, we are also making the entire game larger. The additional money raised lets us add designers, artists, animators, and programmers to help build this incredible new world we are creating. This means adding more reactive quests, choice and consequence opportunities, a varied bestiary, memorable characters, adventure areas, and combat abilities. "

 
 パラディン同様、2.7百万USD達成で開放されるのはチャンター(Chanters)。聖歌隊員というよりは詠唱者、いわゆるDnDバードのロア・マスター(無数の伝承・伝説を記憶する者)の面を強調したようなクラスでしょうか。この記述だと、特に楽器は用いないみたいね。

********** 

 チャンター

 
 チャンターはほとんどの文化圏で目にすることができるが、もっとも頻繁に出会うことができるのは口述伝承の風習を強く残す共同体においてである。民間で伝承される知識や常識的な知恵の保全者であり、大ぼら話や神聖な伝説の語り部でもある。

 多少の戦闘技能やソウルを用いた魔法の能力は身に着けてはいるが、彼らの真の力は詠唱(chants)から生み出される。チャンターは、自分が記憶している何百もの物語や詩歌から取り出した個別の象徴的な文言や韻を踏んだ二行詩を基にして詠唱を組みたて、長い時間にわたって効果を発揮する魔法の連鎖を生み出すことができる。ソウルの力を用いて魔法の詠唱を生み出していることには違いはないが、詠唱はそれだけではなく、気まぐれなソウルが無意識に抱く記憶と、世界に拡散している霊的エナジーを鼓舞激励するのである。すなわち、周囲を取り巻く精霊が、古代より伝わる馴染み深い物語の一部を用いた降霊の呼びかけに呼応して、チャンターの語る物語の中で各々が役割を演じ、それを再演するのだ。

 チャンターの魔法はウィザードやプリーストのそれと比較すると控えめに感じられるかもしれないが、チャンターは他の行動を行っているときにでも詠唱を吟じることができるので、極めて融通性の高い能力なのである。

Project Eternity 日の目を見ない正義か。

 Project Eternity@Kickstarter、2.5百万USD超、残り6日間。(この記事のアップが一日遅れています)

 
 2.7百万USDのストレッチ・ゴールにパラディンが登場した。ヒーホウッ!と手放しで喜べない。とりあえず怒っておこう。さすがにそこまでは無理ちゃうやろか。パラディンと一緒にチャンター(DnDでいうバードに近い)も登場している。パラディン詳細は本文末尾(チャンターは次回)。

 パラディンが実装されるかどうかは、私のように駆け込みで投資する人があとどれだけいるのかにかかっている。
 Kickstarterの駆け込み投資のインパクトがどれほどあるのか興味津々だが、あと6日間で到達するのはかなり難しそうだ。今までの増加率を外挿すると、ぎりぎりで2.6百万USDのアドヴェンチャラーズ・ホールまで達成してジ・エンドなのかな。

 かくいう私はストレッチ・ゴールにお気に入りクラスのパラディンが登場したのでひとまず投資することにした。そうねえ、デジタル世代に乗り切れないバカだから、DVDとマニュアル類の現物パッケージがいただける65USDくらいかな。(海外向けシッピングで15USD上乗せだそうだ)

 2.8百万USDのストレッチ・ゴールはNeverwinter Nights 2: Mask of the Betrayer やFallout: New Vegas のデザイン構築に関わったジョージ・ザイツ(ツイツ?)氏(George Ziets) がProject Eternityに参画するというもの。両作品とも私のお気に入りでもあり、優れたデザイナーであることは文句ないだろうが、これってゴール達成できなかったらプロジェクトに参画しないってことか?

 
 それから、ここでは今まで触れてこなかったが(ごめん、個人的にそれほど興味がないのだ)メガ・ダンジョンなるゲーム本編とは独立した竪堀式探索用ダンジョンの企画も進行している。確かこの趣向もBGのエキスパンション・パックにあったような。こちらはfacebookの「いいね!」の数でメガ・ダンジョンの階層が増えていく趣向。現在5階層まで。

 
 さらには、Kickstarterとは無関係にエキスパンション・パックの制作までがノーティスされた。本編リリース(2014年4月)から半年後リリース予定。内容はInfinity Engineを用いたゲーム(IWD、BG2など)のエキスパンション・パックのイメージどおりだそうだ。新キャンペーン、クエスト、NPC、コンパニオン、クラス、スキルセットが追加されるっていう意味でしょうね。

 
 だから、アドヴェンチャラーズ・ホール、パラディン、チャンター、ジョージ・ザイツ氏の参画などは、最初からエキスパンション・パックに予定されていたのだと思う。パラディンは今回ゴール到達にしくじっても、半年早く手に入るかどうか、の違いじゃないかな。

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パラディン

 
 パラディンは、選ばれし道(a chosen cause、託された大義)の探求を誓約した、極端に献身的で、ときに狂信的とまで呼ばれることがある兵士であり、プリーストの信仰的情熱とモンクの禁欲的規律を兼ね備えている。

 パラディンはこれまでも数多くのエリート戦闘集団を創設してきた。二千年前に設立された宮廷の衛視団ダルコッチ・パラディニ(Darcozzi Paladini)から、まだ産声を上げたばかりの殉教者聖ワイドウェンの同胞団(the Fellows of St. Waidwen Martyr)、あるいはゴッドハマー巡教路(the Godhammer pilgrim trail)を守護する情熱的な僧兵団までが含まれる。

 多くの紛争を契機にして、その尖兵として創設されたことからもわかるように、パラディンは生まれながらの指導者であり、ともに戦う同胞を即座に支援する指揮能力(commands)を有している。パラディンの指揮能力は切迫した死から仲間を救い、疲労からの克服を促し、敵の防御にこじ開けた突破口への突撃を加速させることができる。必ずしもすべてのパラディンが神や神々に仕えることを誓約しているわけではないが、選ばれし道の探求にあまりに一途に没入しているために、彼らのソウルからは霊的エナジーが絶え間なく湧き出しており、それを用いて自らを取り囲む敵集団を一瞬で吹き飛ばすことができる。

 その禁欲的な佇まいと爆発的な戦闘スタイルから見れば意外なことだが、パラディンは同胞とともに戦うことで最も力を発揮する。仲間から孤立して単独の強力な敵と対峙した場合、パラディンはその脆弱さを露呈することになるのだ。

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 Project Eternityが解釈したパラディンは、DnDのパラディンから一部(治癒能力はレイ・オン・ハンズを表しているのだろう)、DnD4版のウォーロード(Warlords)(3版でいうマーシャル(Marshals))から一部を取り入れているようだ。後者は「指揮官」、「司令官」、「将軍」クラスである。

 「必ずしもすべてのパラディンが神や神々に仕えることを誓約しているわけではない」という記述から、DnDパラディンには必須条件であった信仰上の献身を要求しないことがわかる。これも「宗教的な縛りつけはけしからん」という最近の怒れるゲーマーたちに配慮したのだろうか。

 「集団とともに生き、単独では脆弱」というのは、パラディンをファイター・プラス・アルファのクラスにしてしまうと、誰もファイターをプレイしなくなるからなんですよね。

 さすがにDnDのパラディン・オーラはパクらないようだ。
(DnDパラディンの周囲には神の恩恵が具現化したオーラが自然に発生し、自分は恐怖を感じなくなり、周りの仲間も感化されて恐怖に強くなったりする。WoWは一時期パクっとるな。WotCが良く訴えなかったな)

 DnDパラディンとはだいぶ違うが、よしとするかあ。Obsidianの心の曲がった人たちが秩序にして善なるパラディンを好きなはずないもんな。

Project Eternityのカテゴリーはじめました。

誰も見てない 気にしていない
Obsidianが誰なのか
誰も知らない 知りたくもない
Project Eternityがなんなのか

(「デビルマン」EDテーマのメロディで)

 投資家(Backer)のコメントで、日本語翻訳についてもメンションされていたようです。日本語版を要求するという文脈ではなく、次のような話。

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(とあるBackerが、自国語(何語かまではフォーラムを読まないとわからない)の翻訳版が出ないので、自発的に翻訳を(有償で?)買って出るつもりらしい)

 「ストーリーが深化すればするほど、ノンネイティヴにとって英語が難解になっていくから、翻訳版が望ましいのは間違いない。
 Backer仲間で自主的に翻訳したらどうだろうか。なぜなら、仮に翻訳言語を増やすのであれば、君の要求する言語より大きな潜在的市場を有する言語がある。たとえばロシア語や日本語など。(後にロシア語版とポーランド語版は正式にリリースされることが決まった)

 ファンに有償で翻訳を依頼するとした場合には次のような問題がある。コンテンツにはネタバレが含まれるから情報管理が必要になる。出来栄えが優れた翻訳かゴミであるか見極める専門家の目も必要である。そんな翻訳家にゲーム全体を監修させることが可能かどうかもある。
 また翻訳作業に立候補したファンのうち誰を選ぶのか。機会を平等に与えるのか?代償はいくらが適切か?求められたすべての言語に対応するのか?
 
 たとえば、まず小手調べにネタバレに問題のないリストを翻訳させてみる手はある。メニュー画面、スキル詳述、様々なロア(伝承)など。それらの翻訳が優れていたら、今度はプロローグとかゲーム初期の段階のストーリーを訳してもらう。それも満足いくものだったら、今度はゲーム全体を有償で任せる。そういう方法があるかもしれない。
 
 このように、お手軽で問題のない翻訳を手に入れて、販売権を手放さずに済むこともできる。「カタワショウジョ」(Katawa Shoujo)の第一章がどれだけの数の言語に翻訳されているか知っているかい? それですら発売元の会社は誰にも金を払っていやしないんだよ!(文中の作品は日本発同人ソフト。調べる場合は自己責任で)

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 ローカリゼーションに関わる話題ですが、ビジネスとして組織だってやるならともかく、たとえば顔見知りの外国語の得意な、暇な好事家の学生仲間がそれなりの数たまたま集う場合、そういう極めて稀な場合を除いて、こういう自発的な試みがうまくいくとはとても思えないのです。現にうまくいったものなんてそんなに数多くない。
 

 問題は外国語の力なんかじゃないんですね(外国語ができない人も十分やることはあるのだ。日本語(自国語)のアラを見つけることができる)。
 人間であれば誰しもが、最初に花火やアドバルーンを上げることには非常に長けている(ただ騒げばいいからね)。でも、いざはじめたら、ごく少数の者に負荷が集中する(外国語の力の問題もあるが、むしろやる気の問題)。そうして完成までの残り20%で結局挫折する。なぜなら、そこが一番のハードワークを要求されるところだから。途中で放り投げた他人のケツをふいたり、(シナリオが数多くのファイルに分解されているヴィデオゲームの特徴であるが)意味がまったく通じなくなっているスクリプト同士をつなぎ合わせたり、全体的な矛盾をひとつひとつ潰していき、トーンを整合させる。タイム・コンジューミングで根気が必要でかなり難しい作業だが、まったく脚光を浴びない汚れ仕事である。BioWareのゲイダーさんもかつて同じことを言っていた。

 ビジネスが有利なのは、そういう残り20%のゴミのような仕事でも難なくこなせる体制があるから。逆にいえば一定の「品質」を担保できる手段が他にないから「ビジネス」という形態が必要になる。

 
 (CRPGのスクリプトの膨大な分量的をすっかり無視すれば)翻訳は一人でやったほうがずっと楽であるのも確か。人それぞれによって違う職人芸の世界だからね。

 だからProject Eternityの日本語ローカリゼーションは、スパイクチュンかどこか真っ当なところが手掛けねえかな、と思っているんだけどね。
  

2012年10月 9日 (火)

クラス、パーティー。

 別にクラス会のことではない(そんなものが現在もあるのかどうか知らないが)。

 オールドスクール派の記事は耳目を集めないと書きましたが、もしかしたら読んでいる人が結構いるかもしれないから書こう。いなくても書こう。

 Project Eternity、投資家は54000人超、投資額は2.4百万USD超。締め切りまで残り一週間。

 私といえば最終日付近に投資家として滑り込もうかと思案中。どんな「ゲーム」でも後出しじゃんけんがベスト・オプション。

http://www.kickstarter.com/projects/obsidian/project-eternity/posts?page=2

 ObsidianのTim Cain(注)が、Q&Aフォーラムでの質問に回答した内容の抜粋。これが面白い。
 CRPGがこの先どこに向かうのか(どこにも向かわないのか)について、興味深いコアな話題がいくつかある。

(注)Tim Cain: Fallout(1997年リリース)のリード・プログラマー、デザイナー、後にプロデューサーも兼務。翌年退社してTroikaを設立し、 Arcanum、The Temple of Elemental Evilのリードを務める。Vampire: The Masquerade - Bloodlinesにも関与。
 2005年に資金難からTroikaを閉鎖、しばらくNCSoft関係MMOプロジェクトのプログラミング教育などで禄を食み、2011年からObsidianのシニア・エンジニア。

 
 個人的には、オールドタイマーもといオールドスクール派(に限らないけど)がゲームの「メカニカル」な部分、日本語でいうメカニズム(英語ではあまり言わない)について騒ぐのは、大概にしてほしいと思っている。

 例えば、主人公(PC)のVO(アテレコ)がいらないとかいるとか、ダイアログ・ホイールがどうとか、パラフレイズ(ダイアログ・ホイールに表示される次の会話を示す短文)がなってないとか。コンパニオンのアーマーの見かけが変わらない(たしかにDA2がやりすぎだったことはBioWareも認めている)とか、ニンジャ・ガイデンかデヴィル・メイ・クライ・ライクなコンバットはダメだとか、コンバットの裏側で(戦闘処理のため)サイコロを転がすなとか転がせとか。カットシーンがいらないとか、シームレスなオープン・フィールドにしろとか。 
(もちろん、カメラ・コントロール(不在)については、オールドスクール派でなくても文句を言いたくなる時がある)

 
 でも、「エッセンシャル」な部分、日本語でいうエッセンス(これも英語ではあんまり言わないな)については、思わず頷ける話もあるのは確かである。

**********
 

Q: クラス・システムか、クラスレス・システム(ティム自身が手掛けたFallout、Arcanumなどがある)か?
 
 クラス・ベースト・システムでデザインしている。パーティー内の異なるキャラクタ-が異なる役割を果たすようにしたいと考えていて、そのためにはクラスを設定することが最良の方法と考えているからだ。スキル・ベーストのゲームでは、君が求めているスキルをそのコンパニオンが提供できるかどうか、特にリクルート前の時点では不明だ。クラス・ベースト・システムなら、どのクラスは何ができるかわかっているので、潜在的コンパニオンがパーティーに参加したいと申し出る前からそのクラスの要否がわかる。数多くのコンパニオンがいて、特定の冒険に誰を同行させるか決める際にも、クラスを設定していたほうが必要なスキルを網羅したグループ編成を容易に編成することに役立つ。

Q: 付け足し質問。マルチクラスは考えているか?
 
 質問はひとつづつと言っているので、付け足しはずるいな・・・。だが、答えはイエス。マルチクラスを持ち込むつもりだ。現時点では、やらないと決めたわけじゃない、というほうが正しい。我々の最終段階のシステムでうまく機能するようだったら、提供するつもりだ。
 
Q: RTwP(リアルタイム・ウィズ・ポーズ、ポーズで一時停止できるリアルタイム・バトル)を用いるようだが、個人的にはTB(ターンベースト)のほうが大好きだし、TBのほうが(タクティカル)戦術的コンバットに向いていると思う。なぜRTwPを選ぶのか?

 ふーむ、答えに気を付けないといけない質問だな。なぜなら、リアルタイム・ゲームは戦術的に面白くはなく、TBは面白い、ということが含意されているから。だが聞いてくれ、次のターンにできることが極めて限られている、至極つまらないTBのゲームを私自身たくさんプレイしてきたし、リアルタイム・ゲームにだって戦術的な動きが豊富に用意されているものがたくさんある。世の中にはRTS(リアルタイム・ストラテジー)ゲームがたくさん出ているじゃないか!

 だから答えはこうだ。戦闘時にそれらキャラクターが異なる役割を果たすため、各クラスに与える能力をハッキリ区別がつくものにする。また戦闘時にはプレイヤーのパーティが最適なポジショニングを選ぶことも、どのような攻撃を行うかも常に選べるようにする。さらにわれわれは敵とのエンカウンターを常にチャレンジングなものにしていくつもりなので、どの戦闘にも通用する必勝法をプレイヤーに与えないようにする。だからコンバットの戦術はいつも工夫しなくちゃならなくなるし、ゲームを最後までクリアするためには、手に入る能力のすべてを使いこなさなければならなくなるだろう。

 
 最後に付け加えるなら、これはInfinity エンジンによってインスパイアされたゲームであるから、デザインの柱には、斜め見下ろし式(アイソメトリック、等角投影 図法)に描かれたファンタジー世界の探索、興味深く真実味のあるキャラクターが登場するリアクティヴな(プレイヤーの選択によって変化する)ストーリーライン、ポーズ可能なリアルタイム・コンバットが含まれている。これらの要素がゲームに含まれる予定だし、また我々は必ず含まれると確信している。
 
Q: 主人公の種族やサブ種族によって、世界はどれだけ違ってくる(リアクティヴィティがある)のか?

 種族選択によるリアクティヴィティをたくさん用意する。各種族にはそこからプレイヤーが選べる資質(traits)セットを用意するが、それらの資質によって、会話時に選択するセリフやスキル・ボーナスが異なってくるし、はてはクエストを解決するための異なる方法まで提供される。単一の種族向けのクエストを用意することはないと思うが、一つ確かに言えることは、種族制限のあるアイテムは持ち込まないということだ。多くのアイテムが特定種族との文化的つながりを有している。そうはいっても他種族の者でも取り扱えるのだ。ヒューマンがエルフ・チェインを身に纏う姿は奇異かもしれないが、別に着用できないわけじゃない。

Q: 近年のCRPGに欠けていて、今回もっとも取り入れたいと考えているのはどのようなものか?

 答えはたった一語で言い表せる。パーティー。プレイヤーが大人数のキャラクターからなるパーティーを操作する(control)ことのできるCRPGが好きだ。ここでいう操作とは、望むなら各パーティー・メンバーの行動を選べるということを指す。戦闘中にはポーズ(中断)が多用されるだろうし、プレイヤーがメンバーに新しい行動を取らせたい場合には、常にポーズ(中断)できるようにする。近年の多くのゲームはひとりのキャラクターしか操作させず、仮にパーティーが編成されているとしても、そのグループ内のひとりしか操作できない。このゲームでは、パーティー全員を操作したいのだ。

Q: Modの導入は可能か? 過大な要求であるし、Unityエンジンでは難しいことがわかっているが、本当のところを知りたい。
 
 大変いい質問だが、残念ながらまだ答えることができない。Unityエンジンがわれわれの最終製品をどのように束ねるのかまだ解明しているところだし、われわれのゲームがプレイヤーにどれだけのものを提供できるかも見極めなければならない。modを導入できるようにしたいとは思うし、もし可能ならそうするつもりだ。だが我々の努力を真っ先に注力するべきなのはそこではなく、驚嘆すべきシングル・プレイヤー・ゲーム経験を与えることにある。もちろん、多くの人々がゲームを弄繰り回して自分でコンテンツを作りたいことはわかっているので、ある程度開発が進んだ段階には、その実現可能性についてお知らせすることにしたいと思う。

***********

 個人的にティムにアグリーなのが、クラスとパーティーありきの発想である。私にもオールドスクール派の血が多少は流れているのかもしれない。ただし、マルチクラスが可能かどうか、実際にパーティー全員を自由に動かせるかどうか、などは上でいうメカニカルな部分なので除く。
 それ以外の話題では、種族による世界のありよう(見え方)の違いもなかなかそそる分野であるが、RTwPかTBか、Modがどうとかは私には関係ない(メカニカルな部分だから)。

 つまり、PRGが何を体現しているか、何を具現化しようとしているかについて、ティム・ケイン氏が私と同じ発想に立脚しているかどうかはわからないが、結果的に私の選好する方向とほぼ違わない方向を選ぼうとしていることがわかった。

 それは「世界」であり「社会」であり、あるいは「文化」である(「文明」ではない)。
 ぶっちゃければ「人」(ヒューマノイド!)としてのありようである。 

 RPGの「クラス」は、この世の中は一人では渡れないことを示す。身の程をわきまえることを促す。さらに言えば、この世の中にはあなたが決して本質的には理解できない、共感できない者がたくさん存在していて、相手もあなたのことを同様にみなしていて、かつ、お互いなんとかして共存しなければならないことを示す。

 だがこのRPGで最も重要と言ってもよい概念・単語に、日本語にはまともな翻訳が「ない」。

 「クラス」は間違っても「職業」ではない(バーバリアンという職業はない、とすでに以前書いた)。「階層」でも「階級」でもない(ローグ(風来坊、渡世人、無頼漢)という社会階層、クレリック、パラディンという社会的な階級はあっても、ファイターという階層・階級はない)。「ギルド」のような何か利害に結ばれた「組合」でもなく(バード・ギルドや盗賊ギルドはあるだろうが)、「派閥」でもないし、「職能」、「技能集団」でもない(事後的、結果的には技能集団であるが)。

(Mass Effectシリーズでは、クラスはそのまま軍隊の「兵科」を示しているともいえるが、それらがファイター、ローグ、メイジといったファンタジー系RPGのクラスをそのまま横滑りさせたものであること、あるいはそれらのハイブリッドであることは容易にわかるだろう)

 「クラス」とは「分類」のことである。「類型」というほうが近いか。Merrian-Websterの語義でいったら次が一番近い。

 "a group, set, or kind sharing common attributes"
 

 ただの類型というわけでもない。謂わば(他とは明確に区別可能な)なにかしらのエトス(エートス)を共有している集団を示す。

 CRPGでもっとも隆盛を極めたのはDnDから派生したRPGである(すべてのRPGがDnDから派生したのではない)。
 そこでのエトスとは、冒険という場においてなにかしら有用な(エトスの本来的な意味での)特性・特徴、気風・習慣、そこから始まる場所、ありようのことである。 

(「ロールプレイングとは何か?」という質問は、BioWareのシニア・ライターであるゲイダーさんにとって「聴くだけで吐き気がする」ものだそうだが、ごく乱暴に言い切ってしまえば、そのような個別のエトスを有したキャラクターがいかにも取りそうな態度・行動をできるだけ演じること。それで決して間違いじゃないだろう)

 Project Eternityで予定されているクラスで言えば(どれもDnDと相似形であるが)、ファイターは武勇、ローグは狡猾、ウィザードは知性、プリーストは受容、レンジャー・ドルイドは自然との交感、モンクは求道、バードは社交、バーバリアンは憤怒、パラディンは滅私。(パラディンは予定されていないけどな・・・) 

 これら個別の「類型」が全体で何を示しているかというと、人(ヒューマノイド!)というものは、ある分野には秀でていても、ほかのことはからっきしダメな場合が常であるということ。そしてお互い補完するために、決して本当にはわかりあえない「仲間」と徒党を組まなければならないこと。

 この世の中は一人では渡れない。(クラス)
 だが数人が集まれば、もしかしたら渡れるかもしれない。(パーティー)
 もちろん、たかだか数人集まったって渡れないこともある。渡る世間はオー(略)。

 DnDのパーティーは4名から6名くらいを推奨している。もちろんTRPGとしての進行管理上有利だったことも理由のひとつだろう。Project Eternityも6人パーティー制を用いるそうだ。

 メンバーは基本的にお互い完全には理解しあえない「他者」同士であるから、数人集まればいさかいも生まれるかもしれない。冒険にはわけまえがつきものなので、あんまし役割がかぶったメンツはいらない。罠外しのローグが二人いたら、わけまえを増やすため(あるいは自分がパーティーにとって必要不可欠な存在になるため)、どちらかがどちらかを事故に見せかけて殺すかもしれない。タンク・ファイターが二人いたらお互い譲らず、敵がばらけて面倒ったらありゃしない(これはメカニカルな部分か)。バードふたりは端的にうるさい。

 
 (「指輪物語」の「旅の仲間」のように、わけまえなど関係ない至高な目的に向かう場合、ホビットがメンツにかぶりまくっているが問題ない。そもそもホビットの物語だし)   

 だが、いざこざも世の常。三人寄れば文殊の知恵も、誰か一人が仲間はずれ、つまはじきも世の常。

 なるほど世界は(社会は)こうなっているよな(しょうがねえよな)、という引き気味の部分(デタッチメント)と、このコンパニオンはとても気に入った(むしろ殺してやりたい)というのめりこみの部分(コミットメント)の両方を堪能できる機会を兼ね備えるためには、パーティー制は決して必須ではないが、もっとも手に入れやすい仕組みであると思う。

 クラスレス・システムにも一理あることは触れておこう。ひとつのゲームをプレイヤーに長く遊んでもらったほうが商売上有利であるという昨今のゲーム事情があるため、ひとりの主人公が、あらゆるゲーム内フィーチャーを堪能できるという仕掛けを導入する場合が多くなっている。
 主として、レンタル・リセール(中古)がごく普通なUSのゲーム事情向けの対策であり、レンタル期間では満足するまでプレイさせない、簡単にはリセール(中古)に出させないという要請に基づくものだ。
 (DLCなどは、そういう対策のうちでも「下策」であるという批判もあることはご承知のとおりだ)

 たとえばSkyrimの主人公は、ゲームに用意されたほとんどの事柄をひとりで手がけることが可能だ(内乱で対立する軍勢の両方に最後までくみすることはできないし、カジートでなければできないことなどはある)。
 武芸も技能も魔術も歌さえもすべて極めることができ(厳密にすべてのスキルをマックスにするのは相当無理筋だが)、あらゆる派閥(faction)をほぼ万遍なく経験することも可能である。ウェアウルフになって、同時にヴァンパイアになっちゃうことも可能だし、世界の守護者であると同時に盗賊ギルドに所属し、冷血な暗殺者であったって別に問題ない。
 だが、そこに現実味はほとんどない。そんなことはこの世の中では起きないのだ。 

 もちろん、ファンタジーだからそれでいい、という意見に対してなんら反論はない。人の遊び方に説教するほど身の程を知らないわけじゃないし、逆に自分もつべこべ言われたら不愉快だ。

 ただ私個人は、クラス・パーティーを重んじる仕組みが好きだ。JRPG、MMO/MOを除けばBioWareのタイトルが辛うじてその路線を守っているが、他では驚くほど少なくなっている。
(JRPGはパーティー制が非常に多く残っている。ガラパゴ事情のひとつに加えてもいいかもしれない。Dark SoulsやDragon's Dogmaのような興味深い逸脱も生まれているのでまったく進化をやめたわけでもないだろうけど)

 そして、パーティーメンバーを全員完璧に操作できなくても別段気にしない。AIがあまりにおばかさんであっても、コンバット中に使えないメンツに向かって「おたく、なにやってんの?!」と声を荒げているほうが実は楽しい。MMO/MOではさすがにできないし(笑)。

 なぜなら、世の中はだいたいそうなっているから。誰もあなたの思い通りには動きゃせんて。

2012年10月 6日 (土)

The Lost Followers

 それについては次回書く、と書いてまた忘れていたネタ。

 今からする話はIcewind Dale(2000年)のものではないかと思って調べたのだが、どうもIcewind Dale 2(IWD2)(2002年)のほうだったようだ。

 IWD2はストーリーや物語設定こそ違うもの、基本はDnDの2版準拠であったIWDのシステムを、DnD3版にアップデートする試みであった。それ自体は上手くいったのであるが、丁度このあたりで開発元のInterplay/Black Isleの経営が傾いちゃったらしく、エキスパンションや続編は出ていない。エンジンは前作同様BioWareのInfinity。

 パラディンに関係する隠しクエストがあった。
 この部分は記憶が曖昧であったので、Youtubeの映像でも見ながら自分の記憶を掘り起こすことにする。

 次のような映像が見つかる。"The Lost Followers"が隠しクエストの名称だ。 
 

Icewind Dale II Playthrough Part 144: The Lost Followers - YouTube

<http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&cad=rja&ved=0CC4QtwIwAQ&url=http%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3DXB3DctbMX78&ei=VW5qUKe0IozMmAWf74FQ&usg=AFQjCNGIvLTQVENy4aARyKLDDRr8KqAKtg>

 ゲームをご存知ない方がこの映像を見てもなにがなんやらわからないだろうが、「オールドスクール派」のゲームがいかにちまちまとまだるっこしい操作を必要とするかはおわかりいただけるだろう。ま、ある程度慣れれば機械的に操作できるようにはなるのですが。 

 多くのプレイヤーが鼻水を大量に垂れ流しながらプレイしたであろう、ほんの些細なミスで全てが崩壊する、DnDのCRPG史上屈指との呼び声もある高難易度バトル。

 
 パラディンがパーティー・メンバーにいなければならないわけではないが、ここで手に入る隠しアイテムは、なんとあの、Holy Avenger 、ホーリー・アヴェンジャーなのである!おーっ!(そこ、とりあえず驚いてっ!)

 パラディン以外には取り扱えない、クラス専用武器。

 パラディン興味なし、気障で独りよがりのええ格好しい(good-doer)やし、というBane神の手先かと思うような不届きなプレイヤー連中ですら、このバトルの圧倒的な出来のよさと緊張感には皆唸らされたという。 

(YouTube画像の冒頭部の説明)

・プレイヤーは可能な限りのモンスターを召還し(塹壕の埋め草、弾除けとなってくれる)、自分のパーティー・メンバー(6名)にとことん(有利な呪文などを)バフアップしている。

 
・とあるアイテムを墓地の指定場所に置くと、光の束とともに、破邪の剣、ホーリー・アヴェンジャーが姿を現し、同時に六体の極悪非道な者らのアンデッドが蘇る(お花のシンボルがそれ)。

・Angelという名前のパラディンがホーリー・アヴェンジャーを拾って装備する。

・あとはご覧のとおりの、長時間しっちゃかめっちゃかバトル。

 基本は、一番物騒なメレーの敵は召還したモンスターで取り囲んで時間を稼ぐ。薄っぺらい衣装の子達は本当に危ないから敵に接近しない(一撃で殺されてしまう)。それぞれの敵にはごく狭い条件だが何か弱点があるのでそこを付く。比較的倒しやすい敵から順番に戦力集中してひとりづつ倒す。

・最後の生き残り、頑丈で一番危ないくそドワーフにパラディン(Angel)がとどめの一撃。戦闘終了。

・パラディンに特別能力ボーナス付与。

(まだプレイスルーの画像は続くが、あとは関係ないですな)

 画像では、ホーリー・アヴェンジャーの説明文をきちんと見せてくれる(配慮がすばらしい。IWD2のセーヴファイルがどこ行ったか見つからない私にとっては僥倖とも呼べる)。

 物語の背景設定。 

 恐怖、嫌悪、専制者の神ベイン(Bane)に付き従う信徒のうちでも、飛び抜けて凶悪な六名は自らをロスト・フォロワーズ(道を喪った信徒ら)と名乗っていた。ネーミング自体が「ふざけた」しゃれである。

 ベインの信徒の横暴が多くの国々で猛威を奮い、その魔の手からいまだ逃れ続けている者たちも言語道断な悪行三昧になすすべもなく、口をつぐみ目を背けていた頃。

 六人はシルヴァー・コート国の王の首をその玉座で刎ね、王国を簒奪すると、首のない王の亡骸をアンデッドとして蘇らせたうえで王都を彷徨わせ、出会う者を手当たりしだいに虐殺し続けさせた。さらに六人は王都全体に火を放ち、街が跡形もない荒野に戻るまで放置しつつ、ワイングラスを手にしながらその様子を王宮から見物していたという。 

 王族では五歳になる王女がたったひとり生き残ったが、悪の六人は暴虐の最後の仕上げとして、その娘を「すすり泣くクイーン」、焼け果てた荒地の「女王」に任じ、なにもない土地を統治させることとした。娘には決してその地を離れることのできない呪いをかけ、あとは飢えるに任せたのである。
 六人はとりあえずの成果に満足し、それぞれ思い思いの土地に散っていった。ベインの名をより一層高めるため、さらに各地で災いを振りまくことにしたのである。 

 老コルサ・エールド卿が亡き王の玉座で「すすり泣くクイーン」を見つけたとき、娘はすでに飢えに苦しんでいた。老体に鞭打って馳せ参じたが危機を食い止めるには手遅れであったことを心から恥じ、彼女のもとに水と食料を届けさせ、さらには王国のため復讐を果たすことを誓う老騎士に対して、娘は長い長い間の後でたった一言、短い感謝の言葉を述べることが精一杯できるだけであった。だが老騎士が旅立った後、彼女がすすり泣くことは二度となかった。

 すでに齢七十を過ぎていたとも言われる老騎士は、その後六年にわたりファールーン大陸とその異界群(planes)をまたにかけ、悪の六人を次々と葬り去っていった。六人のいずれもが、くたびれた剣を手にした老いぼれ騎士の姿にまず油断し、その刺客が恐るべき遣い手だと気が付いたときにはすでに成敗されていた。
 エールド卿の古びた愛剣の柄には石がひとつはめ込まれており、老騎士はそれに一人倒すごとにその記録を書き足し、殺す前に改心させることができなかった無念さまで記していた。

 最後のひとりを打ち倒した老騎士は娘のもとに帰る。娘の膝下に愛剣を捧げると、おんぼろの剣はまるで太陽のごとく眩い光芒を発する剣に姿を変え、柄の石には老騎士の長い旅の記録が刻み込まれた。老騎士は柄から取り外した石に鎖をつけて首飾りとし、もはやすすり泣いてはいない「すすり泣くクイーン」に手渡すとこう告げた。この世には数限りない悪があり、誰の心もその誘惑から逃れることは容易ではない。だが、心正しく、行くべき道を誤らずに進む者にとっては、どれだけの数の悪も敵ではない。そのことを忘れないように、その石を身に付けていて戴きたい。

 老騎士は百を超えるまで生きたため、仕えた女王に先立たれることになった。その後北の国に向かったという噂があるのみで老騎士の消息は知れない。やがて王国はかつての栄華を取り戻すことになるが、エールド卿が携えていた愛剣'Cera  Sumat'の行方は依然として不明なままである。

 'Cera  Sumat'は、"Six, now silenced"を意味する。「六人成敗」。

 パラディン・マニアにはたまらんお話ですなあ。

 本当は、老パラディンが六人それぞれのフォロワーズを追跡して葬り去る六つのマンハントの詳しい記述もゲーム内にあるのですが、あまりに分量が多いのでやめておきましょう(自分のセーヴファイル探すのも大変だ)

 かほどさように、ジェネリックなマンハントもののプロットであっても、味付けで美味しさが増すんですね。
 久しぶりに読んだら、またじんときてしまったぜ。

 

  

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